フランスのサルコジ大統領がカラチ仏人殺害事件の容疑者としてルクセンブルグ警察の総括レポートに名指しで上がっているとして、政治の真実を追うネット・新聞「メディアパー」(6月2日)が報道。2010年1月に「ルクセンブルグ警察の総括レポートでは、特にニコラ・サルコジ氏が計画したものと名指しで指摘している」、これがメディアパー社のスクープだ。(2010/06/04)
このことで、15分ごとに報道される国営ラジオニュース・フランス・アンフォでは3日は一日中大騒ぎ。その対応に躍起になったものと想像できるあわてぶりであった。一方、フランス・アンフォでは「当時、契約時にはコミッションは認められていて法律違反ではない。フランスへの見返り逆コミッションは違法であるが」とし、さらに「それには証拠はない」と報道した。
サルコジ大統領も2009年6月のブリュクセル(ベルギー)での首脳会議の合間のインタビューで、これは「まるでおとぎばなしのようだ」、とした見解が再度ラジオで報道された。その少しあとで、2009年6月18日のフランス国営放送・テレビA3のインタビューではバラデュー元仏首相は、わたしの「知る所では完全に合法的に行われていた」と語っている。今回のメディアパーの報道に関しサルコジ大統領からの反論はもっかのところ報道されてない。
サルコジ大統領も2009年6月のブリュクセル(ベルギー)での首脳会議の合間のインタビューで、これは「まるでおとぎばなしのようだ」、とした見解が再度ラジオで報道された。その少しあとで、2009年6月18日のフランス国営放送・テレビA3のインタビューではバラデュー元仏首相は、わたしの「知る所では完全に合法的に行われていた」と語っている。今回のメディアパーの報道に関しサルコジ大統領からの反論はもっかのところ報道されてない。
アゴスタ90-B潜水艦販売によるパキスタンからのフランスへの見返り金(逆リベート)がルクセンブルグに隠し置かれたという不法財源だが、当時サルコジ氏が支持しバラデュー元首相(1993-1995)が仏大統領選挙に出馬した2002年の政治運動資金源として利用されたとみられている。
決選投票の第二次大統領選挙ではバラデュー氏は落ちて、シラク氏とジャン・マリー・ル ペン(フランスの極右政党、国民戦線FN)総裁との一騎打ちになり2002年5月6日にシラク大統領が再度当選した。カラチの事件はその直後の2002年5月8日に起こったのであった。今回、ルクセンブルグ警察は、「資金の一部がルクセンブルグを通ってフランスでの選挙活動資金のためにフランスへ戻された」と、主張している。
2002年5月8日朝、カラチのシェラトン・ホテル前に横付けされたトヨタ・カローラに搭載された150キロのTNT(トリニトロン)爆弾が爆発。パキスタン海軍の専用送迎バス(44人乗りメルセデス)に乗っていた造船技師らフランス人11人が死亡した。
全体では15人が死亡し22人が負傷した。当時のパキスタン政府は外部犯行説、特に国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派オサマベルナデンのテロ犯行といち早く見てとった。しかし、フランス政府がパキスタン海軍への潜水艦売り込みにまつわるパキスタン側へのコミッションの停止から、フランス人の殺害が起こったとされる報復説の見解も捨てられてはいなかった。
全体では15人が死亡し22人が負傷した。当時のパキスタン政府は外部犯行説、特に国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派オサマベルナデンのテロ犯行といち早く見てとった。しかし、フランス政府がパキスタン海軍への潜水艦売り込みにまつわるパキスタン側へのコミッションの停止から、フランス人の殺害が起こったとされる報復説の見解も捨てられてはいなかった。
シラク前仏大統領は、バラデュー元仏首相側の政治資金源としてこの潜水艦取り引きの政敵バラデュー側への逆コミッションの流れを懸念したことからそれをストップさせるために、パキスタンへのコミッション支払いを停止したとされている。この停止措置に怒ってパキスタン軍がテロリストがらみの爆弾事件でパキスタン在住のフランス人技師を殺害したと見られてきたわけである。
事件当時、サルコジ大統領は、バラデュー氏の大統領選挙運動の責任者を担当していた。また財務大臣でもあった。この1994年9月21日に、潜水艦3台のパキスタンとの取り引き調印をしているといわれている。契約は85億ユーロ(約1兆1千万円)でコミッションはその10.25%の105億円。フランス側への逆コミッションは4%の34億円が見込まれていたようだ。
シラク前大統領による逆コミッションが禁止された後も、パキスタンへのコミッション送金はその後つい最近の2008年まで続いていたとシェルブール造船局(DCN)の元所長アレックス・ファバレズ氏の証言が2009年10月3日にあった。(AFP フランス通信 2009年10月17日)。このことから、今後は逆コミッションが禁止された時点での資金の流れが問題の焦点になってくると考えられる。
しかしコミッションが法的に禁止されていないから法律に触れない、「合法的」だとする見解は、法律になかった逆コミッションなら更に問題ないという論理を助長するだろう。そのような政治家の資質や道徳観が問われるところだ。が、そういう論理を無批判に振り回すメディアの神経というのも極めて体制的である。
犠牲になった遺族たちは国家防衛機密だとして資料開示拒否のベールの前に、ただ事件の真実を知りたいとの必死の思いで戦っている。遺族を支援する弁護士の姿がしばしばこころあるメディアで報道され話題をよんできた。
(参考記事)
カラチ、警察レポートがニコラ・サルコジ氏を問題視 (メディアパー新聞 6月2日2010年)
http://www.mediapart.fr/journal/france/020610/karachi-un-rapport-de-police-met-en-cause-nicolas-sarkozy
バラデュー筋(リベラション紙の特集 1-5頁 4月26日2010年)
カラチ襲撃、潜水艦売買コミッションは2008年まで支払われていた(AFP フランス通信 10月17日2009年)
カラチのテロ、14人死亡うち10人がフランス人、アルカイダに疑惑((AFP フランス通信)5月8日2002年 )
ラジオニュース・フランス・アンフォ