3月8日、与党仏国民運動連合(UMP)国家書記で中企業発展を担当するシャンタル・ブリュネル(Chantal Brunel)上院議員が国会のロビーでジャーナリストに「地中海沿岸諸国からやってくる移民は、いずれにせよ、船につぎ込むことにしよう」と発言したことが、移民の人権を無視した共和国フランスの議員にふさわしくないと左派だけでなく右派からも厳しく批判されている。サルコジ大統領が昨年7月31日にグルノーブルで宣言した移民の子弟で警察など国家の代理に抵抗したものは国籍を剥奪するというフランス国家の人民の平等性を否定する人種差別の法案が疑問視されている最中であった。
極端な人種差別の発言がフランスの与党議員から出て、極右政党、国民戦線(FN)フロンナショナルの人気を追いかけるまねはしたくないと与党議員からも批判されている。これはサルコジ大統領の2011年7月のグルノーブル発言の慣性力の影響なのかもしれない。 |
社会党のクロード・バルトローン(Claude Bartolons)議員はサルコジは自分の右派陣営にフランスの極右政党、国民戦線(FN)の票を集めたいと考えているが、それを地で行った発言行為であったと見ている。
SOSラシズム元議長で仏社会党のアルレム・デジール(Harlem Désir)欧州議員は早急にこれを糾し、辞任させる要求をジャン・フランソワ・コッペ国民運動連合(UMP)議長に提出した。また同氏は、ブリュネル議員がマリーンヌ・ル・ペンと同じような発言をしながらUMPのスポークスマンからFNのスポークスマンに変身したのかと批判した。
このことは、サルコジ大統領の政治が人気がなく世論調査も低調なUMPと飛躍的な成長を見せているFNとの境目がわからなくしていると指摘するオブリ社会党書記長の見解を物語っている。
しかしこういう戦略というのは大変にフランス国家の右傾化を進めるもので危険な遊びでもある。これが二つを先ず並べで次にそのちがいを判らなくし、最後に玉(票)だけ横取りする真言流の盗法であることは以前に指摘したとおりである。しかしこのような邪な策謀をフランス人が知っていたことに驚くのである。
保守派の新サントル(Nouveau Centre)のスポークスマンであるフィリップ・ビジエ(Phillipe Vigier)議員は共和国の代議士として尊厳を欠いた話だといっている。
マルチン・オブリ社会党書記長(前雇用相・リール市長)はロワール地方で記者会見し、「これは、人々が嫌うフランスのことである」と語った。
クリスティーヌ・ブタンキリスト教民主党(PCD)議長(前住宅・都市相)は「右派議員からこんな発言があると、私は吐き気がするのです」といっている。
与党仏国民運動連合(UMP)のパトリック・デルデジアン(Patrik Derdjian)氏は「許せない話だ。フランスの極右政党、国民戦線(FN)のまねをして後を追いかけるのはよい考えではない」と発言した。
ドミニック・ドゥ・ビルパン前首相派のジャック・ル・グゥエン議員からはUMPが厳しく辞職するべきだといっている。
仏財務大臣で政府のスポークスマンのフランソワ・バロワンは、ブルネル議員の発言を残念だとしている。