2011年5月4日水曜日

ビンラディン襲撃はパキスタン政府を差置いた「予告も承認も無い」米国軍隊介入

米国のウサマ・ビンラディン急襲作戦の2日後の5月3日に、米国軍隊がこのアルカイダ攻撃で前触れもなくパキスタン政府への予告も承認も得ずにパキスタン国内へ介入し踏み込んできたとして、米国軍隊の逸脱を激しく抗議した。このような一方的な行為は米国だからといって許されない。これを規則にしてはならない。このような襲撃が国際間の平和と安全を脅かす爆弾となるのだとパキスタンの外交官は怒って抗議し両国の間に火花が起きた。しかし、ワシントン・ポストではパキスタンのアジフ・アリ・ザルダリ大統領がこの疑惑に答えたとし、ビンラディンの殺害は10年来の米国とパキスタンとの協力の結果であると談話をだしたという。米国は両国の関係が悪化することを恐れていて、米議会ではこの気難しいパキスタンへの巨額の援助資金の削減を考えているという。

タイム誌の対談で米国中央情報局(CIA)所長のレオン・パネッタ氏は、米国はパキスタンに対しウサマ・ビンラディン襲撃作戦を知らせてなかったと証言している。それは緊急襲撃をビンラデン側に警告されてしまう可能性があったからだという。またパキスタンとの作戦協力は目的が失敗することになると判断したからだともいっている。

デービッド・キャメロン英首相はビンラデンが大きな住宅街の屋敷に住んでいたことは、パキスタン政府の支援組織があったのではないかと疑問を出して米国の肩をもってみせている。

アラン・ジュッペ仏外相はパキスタン政府の立場は明確さを欠くもので、ビンラディンのような人物が人目に付かずに通っていたとは想像するのが少し難しいと強調して見ている。

最近フランスが強く推進したリビアのカダフィ大佐への襲撃とかコートジボワールでのバグボ前大統領への襲撃は世界の大ニュースになっていた。

コートジボワールでは旧宗主国フランス政府の支援によりロラン・バグボ前大統領を逮捕するのに、国連の潘基文事務総長からの依頼があったとしてワタラ側寄りのコートジボワール共和国軍(FRCI)に協力支援してバグボの閉じこもる邸宅の襲撃にフランス特殊部隊(Licorneリコルヌ)を出動させた経緯がある。これがコートジボワールへのフランスなどによる内政干渉だという批判をバグボ側から受けていた。 

欧米の大国によるイスラムやアフリカ世界への反テロリストの戦争や政治的な空爆、そして軍隊介入などには一応の大義名分が常にあるようだ。が、本当にそれが最良の方法であったのかは常に疑問が残る。