2011年8月23日火曜日

リビア戦争の勝利者は?

ビア戦争の勝利者は?カダフィ空爆を先導したニコラ・サルコジ、仏の哲学者が宣言


 リビアのカダフィへの空爆構想をサルコジ仏大統領と二人して練ったといわれる哲学者のベルナール・アンリー・レヴィ氏(BHL)は何度もリビアの反体制派の拠点ベンガジを訪問して反リビア政府臨時国家審議会(CNTのベンガジ政府)を支援をしてきた。BHLは22日夜のフランス国営放送A2のニュースに出演し、カダフィ体制の終焉を前にリビア空爆をふり返って発言した。反体制派の人々は戦争もやったことがなく武器も使ったことがない。連合軍を勝利へと導いた第一番の将軍はニコラ・サルコジで、ニコラ・サルコジの勝利である。自由の勝利だ。今夜はフランス人は幸福だ」と司会者の制止も省みずに一気に語っている。大統領自身はリビアとアフガニスタンの戦争を最後まで続ける。カダフィ体制が終焉するまで戦争を続けると発言していた。


 フランスはリビアのカダフィ大佐への空爆を最初に始めた。これは3月17日の国連安保理での決議の後、19日11時にはラファール戦闘機2機とミラージュ戦闘機が飛び立っていて、サルコジ大統領が同日15時30分ごろに大統領官邸エリゼ宮殿で開戦を宣言して、初のリビア空襲が行われた。


 フランス特殊部隊(Licorneリコルヌ)は4月5日、コートジボワールの大統領決定問題でアラサン・ワタラ氏を支援してバクボ前大統領邸をヘリコプターなどで襲撃した。6日にはワタラ軍だけの攻撃にまかせて停戦命令をだしたとアラン・ジュッペ外相は発言している。このようにフランスはリビアでも反政府軍を後方から空爆支援をして、必ず北大西洋条約機構(NATO)や国連(ONU)などの国際社会の同意を取り付けてそれを盾に戦闘を行っている。戦闘を単独ではしないで、たとえ数カ国であっても国際社会という名目で行っている。しかしその戦争の目的が何であるのかは一般によく明かされてはない。


 22日、アラン・ジュッペ仏外相は「これで終わりだ。コートジボアールの時と同じくフランスはリスクを負ってきた。昨日もサルコジ大統領はカダフィに武器を置くようにいった」とロシアなどが危惧する内政干渉の批判をけん制する発言をしている。


 フランスは6月初旬に反体制派支援で小機関銃や弾薬をトリポリ近くの北西部山岳地帯にパラシュート降下させていたことが7月始めに発覚しロシアの大統領は「誰でもが何でもしてよいのか」と不機嫌に発言している。陸地戦は許されてないが仏軍用機がリビア国内へ着陸している。また兵士の武器使用の指導もしている。内戦が必然的になって多くの市民の犠牲者を出すことになったことに関しては軍事的な解決ではなくて政治的な外交的な解決策を取ることを仲裁したアフリカ諸国連合(UA)など多くの国が指摘していた。


 フランスのリビア介入は、アラブ・中東諸国の民主化の中でその市民たちの革命の動向に無頓着なフランス政府の大臣や外交官の支援の遅れが目立ったためにそのばん回策としてサルコジ大統領が決めたと見られている。たとえば、年末から年始にかけてチュニジアのベンアリ前大統領の側近にジェット機付き豪華ホテルの家族旅行の接待を受けたミッシェル・アイオマリ前外相やその夫のパトリック・オリエ議会連絡相はリビア友好グループ会長としてカダフィとは10年間に渡り幾度も一緒に旅をしてきている。


 ムバラク前大統領に接待されエジプト旅行をしたのはフィヨン首相だ。チュニジア前仏大使のボリス・ボワロン氏はアラブの春の真っ最中の2月19日チュニジアで記者会見してチュニジアのジャーナリストを叱りつけたので大問題になっている。ボアロン氏はリビアのカダフィ大佐に対して自分の子供であると親しげにテレビで語り彼の立場を認めてやらなければならないなどと話し大問題になっていた。このころに「カダフィは自分のしたことを今は改心しているのだから、だれも間違いはあるのだし、これまでの誤りをいつまでもネガティブに悪く取って見ていてはならない」などと2010年11月にカダフィ支持の宣言をしていたのが明るみに出てさらに問題は拡大していた。


 サルコジ氏自身は否定しているようだが、カダフィ大佐の長男セイフ・アル-イスラム氏は2007年のサルコジ氏の大統領出馬で政治献金をしたがその金を返済するように要求している。口座や送金明細書が残っているなどと3月16日のユーロ・ニュースのインタビューで発言している。2007年の秋にはサルコジ大統領自身がカダフィ大佐をフランスに国賓として招待して武器や原子力プラント契約を締結して人権を忘れた外交が問題になっている。


 現在リビアの首都の80%が反政府軍によって統制されていて、カダフィの息子3人が捕まった。42年間の独裁者カダフィ大佐の凋落は避けられない。行方がわかってなく国内のどこかに潜んでいるものと見られている。仏テレビA2のリビア特派員は、今後の予想としてカダフィ自身が自殺するか何者かによる暗殺されるか、または化学兵器とか爆弾での集団自殺の可能性もあると指摘した。もちろんのことカダフィ殺害は連合国側の目的ではない。



【参考記事】
http://www.liberation.fr/monde/01012355410-tripoli-aux-mains-des-rebelles

L'après-Kadhafi a commencé