パリのマレ地区にある中世時代の家屋 (写真撮影は筆者) |
1518年からは道路側へ上階を突き出させる家は事故が多く建設が禁止された。
1607年の政令で木組みの家は火事になりやすいので壁面を石膏で覆ってしまったが、それを剥がしたものが現在のものだ。
そのミロン通りのハス向かいには13世紀の貯蔵倉が地下にあるパリの町並み保存協会の本部があって無料で見学ができる。内部に入って、急な石の階段を下りると地下が倉庫(カブ)になっていて、天井にはゴチック建築の中心的構造である肋骨交差橋梁を見ることができる。大変に珍しいものだ。
建物は協会の婦人たちがいつもいて案内してくれる。しかし彼女たちは専門家ではないので余り難しい質問はしてはならない。上階が16世紀シャルル9世時代のルネサッンス様式の家屋。当時の階段や内部の明かり取りの空間がスペイン建築の内回廊やリヨンやトールーズ地方に残るルネサッンス時代の建築との相関性を彷彿させるかもしれない。
またルネサッンス時代の左付け欄干が彫刻された階段があるが。その壁に埋めこみ式の棚があって、この建物から出てきた18世紀ごろのルナンの絵にでてくるような壷や食器が陳列されている。
地下の古い部分は、パリの北のロワイヨンのウルスカン修道院のパリの出店としてベルナール・クレルボーのシトー派が建てたものが残った。1960年ごろにはイスラエルの商人が香辛料を売る店として使っていたという。
彫刻がしてある階段の手すり。写真の奥には18世紀の壷や食器が陳列されている。 ルーブル美術館にあるルナンの貧しい農民家族を描いた絵に登場するものだ。 |
建物の一階にある内庭から空を覗いたもの。 |
地下の倉庫。天井と柱に注視を。 |
修復にはゴチックの技術を習得する研修生が参加していた。