2011年11月16日水曜日

仏社会党と欧州エコロジスト・緑の党の合意で

15日、マルチーヌ・オブリ社会党(PS)書記長はセシル・デュフロ欧州エコロジー・緑の党(EE-LV)代表との会合後の記者会見で話し、社会党国家局は全面的な協力を賛成33、反対5で合意したと発表した。これにより与党政権の国民運動連合(UMP)などにより、これまで両党の対立を必要以上に取り沙汰して分裂を意図した発言は、デュフロ氏のいう罠を回避したことになった。オブリ社会党書記長は、PSのEE-LVへの合意は妥協ではなく確信の合意であるとしてナント近くのノートルダム・デエ・ランド飛行場やフラマンヴィル(マンシュ)で建設中の第三世代の欧州加圧水型原子炉(EPR)を例にとって話した。

また社会党(PS)はフラマンヴィルには合意してないのは確かで、ヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV )の大統領候補であるエバ・ジョリ欧州議員もこの点では、何が合意され何が合意されなかったのかを両党が隠さずに話し合ったという点では民主的であったと喝采する評価をしている。

それは、ジャン・フランソワ・コッペ国民運動連合(UMP)議長が数日前に、2012年度の仏大統領選挙候補のフランソワ・オランド社会党前書記長に対して、エコロジストと交渉する必要はないとオランド氏に提言していたからで、これをデュフロさんは、コッペ氏は民主的な論議を避ける「小扇動家」だ。「オランド氏は、この罠にかかってはならない」などとフランス国営放送テレビA2に出演して批判していたからだ。

合意の中ではエコロジストが政権担当に参加しないということは一行もうたってないとオブリ氏はいっていて、社会党は60選挙区でエコロジストの議席及び、国会での政党設立最低議員数(15以上)を確保させる用意があると話している。

合意の基本には正義への強い感覚と全ての者が平等に享受できる利益をフランスのために共に建設しようという決意が感じられる。

一方、与党はフラマンヴィル原子力発電所建設を廃止することは財政危機の中で多くの失業者がでると問題をすり替えてPSとEE-LVの間に論争を搔き立てひびを入れようとしているようだ。

セシル・デュフロ欧州エコロジー・緑の党(EE-LV)代表は残念なことだがとして、小さな抗弁をもとにしてメディアが両党の相違を際立たせていることが問題だとフランス・テレビ国営放送A2の報道担当者のダビッド・プジャダス氏を前にして指摘している。さらにデュフロさんはノルマンディ・フラマンヴィル(マンシュ)で建設中の第三世代の欧州加圧水型原子炉(EPR)の廃止で多くの失業者がでるという政府側の批判には、ドイツなどの実例をだして自然エネルギーの利用での発電は原発の3倍の雇用を生んでいると説明しフランス国民が財政危機で失業に怯えることからの反発の危険に釘を刺している。

現在フランスではプジョーシトロエン(PSA)の大規模な労働者解雇や大手銀行の行員解雇が発表されている。ギリシャの財政危機だけでなくフランス政府の信用が落ちているようだ。これを示すように政府発行の外貨建ての国債や政府保証債の元本及び利子支払いの安全ランクを示すソブリン格付け評価で米国Moodys社からはソブリン格付けの最上位であるトリプルAaa喪失が警告されていた。

政府の原発に対する態度は全く変わってなくて、原子爆弾の実験は他国の砂漠や遠洋の島で何百回もやったがフランス本国に落とされたことはない。日本のように広島や長崎、そして福島原発事故のように国内で原発が爆発していないのでまだ放射能汚染の怖さを実際に経験していない。原発の怖さがフランス政府にも国民にはまだ本当にわかってなくて、日本の広島・長崎・福島の教訓は反故にされている。