2012年2月20日月曜日

共和主義かキリスト教的差別主義か?仏大統領選挙「世論調査」オランド対サルコジは56%対44%



20日朝の仏国営ラジオ・フランス・アンフォの論戦番組にルポワン誌編集長ボースレット氏とともに毎回出席する左派系週刊誌ヌーベル・オブセルバトワール編集長ジョフラン氏は、オランドとサルコジを評してオランドは共和国の価値を訴えているが、サルコジは人種的でキリスト教文化の価値を訴えフランス人を解釈していると話した。今回の大統領選挙の両者のフランス理解の争点として考えられる重大な視点である。最近、クロード・ゲアン内相(前エリゼ大統領官邸書記総監)がフランスがキリスト教文明の国で世界の他の文明の価値に秀でたもので、より優れていると差別発言したことと共通している。サルコジ大統領も同様に2011年3月3日、オーベルニュ地方のピュイ・アン・ヴエレー教会を訪問し、「キリスト教がフランスの文化と文明の根である」と主張していた。コリーヌ・パージュ欧州議員はサルコジの政治を1930年代のファシズムの社会と相似しているとMFMラジオで話したばかりだ。フランス人には共和主義者とそうでないキリスト教文明を信奉する宗教的な非共和主義者がいるようで、その古い保守主義者層をサルコジは大統領選挙のターゲットにしていることがわかる。ドイツのアンゲラ・メルケル首相のようなキリスト教徒を支持層にもつ党がサルコジ氏支援を2月初めに表明した背景には、両者相互の扶助ということもあったが、サルコジ大統領の政治母体の仏国民運動連合(UMP)とは別にクリスチャン・ブッタン前都市・住宅相などのキリスト教徒を中心にした党派の票に関心があるからだ。再度大臣になれなかったブッタンはサルコジを批判していたが、最近手のひらを返すように選挙支持を宣言した。
ジョフラン氏は資産家の税金に手を入れるがサルコジは変化させないだろうと話した。財産家のトップクラスはもしオランドが大統領になったらフランス国をスイスなどに逃げ出すと脅かしてきている。実際にはこれは議会選を前にした政治的な策略であることはわかっていると指摘されているものだ。サルコジの友人で歌手のジョニーなどはスイスに税金逃れのために住んでいるが、フランスへの税金還元を許されてきている大企業なと同じあって、フランス市民が一番気の毒な存在である。日本では企業の社長と社員の賃金格差が300倍とか500倍もあるのだろう?

最近の世論調査によると、大統領選挙は第1次投票ではオランド氏は29%、サルコジ氏27%と接戦だが、最終投票では56%対44%と大きく差がでている結果となっている。

オランド氏のスポークスマンでもあるマニュエル・バルツ社会党(PS)大統領予選選挙候補・エブリー市長は、20日に「サルコジ氏はフランス人が好きでない」と面白い発言をしている。確かに本人の親はハンガリー人だし妻はイタリア人である。

2012年春の仏大統領選挙結果を予想する世論調査は、サルコジ側の保守系新聞フィガロ紙が調査会社オピニオンウェーを使って2月17日から18日にかけておこなわれたものを発表した。

現在、第1次投票ではオランド氏は29%、サルコジ氏27%と接戦だが、最終投票では56%対44%と大きく差がでている結果となっている。

サルコジ氏はオランド氏の評判を落とためにあらゆる方策を考えているようで、フランス革命で断ち切ったフランス社会の持つ危険な非共和主義的な要素である政教一致を喚起させることで人気挽回を狙っているようだ。


【関連記事】


サルコジの政治思想、「三面記事の政治」として



サルコジ大統領、イスラム寺院の影響残るピュイ・アン・ヴエレー教会訪問で、フランス・キリスト教性の遺産擁護を警鐘


イスラム嫌う仏内相は サルコジ大統領のリビア軍事介入を「十字軍遠征」と見立

【参考記事】イスラム嫌う仏内相は サルコジ大統領のリビア軍事介入を「十字軍遠征」と見立