この5月、フランスで失業届けを出している者が急激に増加して24日、雇用相からの発表では今年の最高を記録して全国で394万2千人となった。特に50歳以上で急速な増加を示しこの一年で9%も増加している。またこの5月で目立つのは2百70万人近い人がカテゴリーAと呼ばれる職種を問わないで雇用を求めている人たちの失業であった。フランスの海外県もいれると420万人以上が失業している。サッカーW杯に負けたので、政府は失業者の不満対策の特効薬もなくなったようだ。(本文の初出 /公開日時: 2010年6月26日 @ 2:20 )
政府は現在、60歳の定年を62歳から67歳の間で延長しようとしている。しかし国立統計局(INSEE)によると現在のフランスの50歳以上の失業者は50万人以上だとしている。青年の雇用も少なく失業が多くなっている中で高齢者労働を多くしても社会は窒息するだけだろう。(本文の初出 /公開日時: 2010年6月26日 @ 2:20 )
ラジオでは「政府からの呼びかけだとして、18歳未満で仕事を始めたら、60歳を定年にしてもよい」といっている。これは労働の過酷度を考慮したものだという。しかし今の様な社会でもって、若くして労働市場にでれば学歴がないだけでなく、なにがこの青年に待っているのか?少しは考えるべきだ。政府の無責任な宣伝を聞いて驚いた。
420万以上といっても実際の失業者の数字は労働雇用局へ届けのない人の数や不法移民の数などはもちろん累計されてない。昨日はフランス全土で200万を超える組合員や市民による、政府の定年年齢延長法案に反対する全国抗議があった。
サルコジ大統領は、南アフリカからサッカーW杯に負けて帰国の途に着いたチェリー・アンリ選手と会談するために、24日の国際会議を欠席した。アンリ選手が求めた会談だがその内容は非公開だとされていて、未だに報道はされてない。内容など聞きたくもないが、フランス人の中には、こんなときにサッカーに夢中になっている大統領というのは、フランスの失業の現実も、また国民の多くが定年年齢延長に反対しいるのも知らないふりをしていると、厳しい批判をしている。なにか選手に告げ口されるような悪い事でも彼等にしたのであろうか。それとも、政治家がスポーツに口出しすることに抗議する潔癖性のようなものを、アンリ選手は持ち合わせていたのだろうか。
これまで、ラジオやテレビでは、市民が大統領への批判的な見解をすれば、メディアは報道を小さく扱って手加減していたようだ。今はだいぶ様相が変わってきているようだ。心あるジャーナリストたちには、あまりの現実の退廃に黙っていられなくなってきたのであろう。
南アフリカのサッカーW杯で、日本がデンマークに3-1で勝ったが、テレビのスポーツ担当のジャーナリストは、日本の試合をコメントしながら「私たちが(フランスの選手に)やって欲しかったのは、この日本チームのようなことだった」と絶賛した。絶対に相手を手放しでは褒めないフランス人が、不思議なことであった。どうも自分達がサッカーW杯には出ないので、無償の賞賛は惜しまないということか。それにしてもフランスではサッカーは、ますます政治と強く結びついた危険なスポーツになってきている。
(参考記事)
(ルモンド紙.fr)
http://www.lemonde.fr/idees/article/2010/06/25/les-hypotheques-de-la-croissance-et-du-chomage_1378586_3232.html
http://www.lemonde.fr/idees/article/2010/06/25/les-hypotheques-de-la-croissance-et-du-chomage_1378586_3232.html
(ラ・コワ紙.com)
http://www.la-croix.com/article/index.jsp?docId=2430600&rubId=4079
http://www.la-croix.com/article/index.jsp?docId=2430600&rubId=4079