2013年11月12日火曜日

仏監獄の人食、 裁判で「彼の魂が欲しかった」と証言 欠陥刑務所に原因か

フランスの上ノルマンディーの首都ルーアンの刑務所で囚人が同室者の肺をむさぼり食べる「ルーアンの人食い」とメディアで呼ばれた残虐な事件の裁判が21日から25日までの予定で始まった。心臓を食べようとしたのは、「彼の魂が欲しかったのです」と答え、「彼の中に性的な喜びを認めたからです」とそれが「衝動的なものであった」と判事に証言している。裁判では事件のあった監獄が異常な定員超過であったことを指摘している。調査によると10平米~11平米の監房に3人も収監されていたことがわかった。(本文の初出 / 公開日時: 2010年6月23日 @ 17:23 )

2007年1月2日に起こったこの事件でも、刑務所内の10平米の監房に3人が収監されていた。犯行に及んだニコラ・コカニュ氏(37)は、同室者のチュリー・ボードリィ氏(41)をハサミの刃と素手で殴り、ゴミ箱用のビニールで窒息させて殺した後で、肺を食べた。心臓を食べようとしたのだが、実際に食べたのは肺だった。

夕食のために剃刀で細かく肉を切り刻みながら生の一部を食べた。残りは玉ねぎを入れてコンロの鍋で煮たという。同室にはもう一人いたダビッド・ラルグュ氏(35)は殺害には介入しなかったが、2009年に牢獄で自殺している。

すでに、フランスの監獄は不衛生で定員超過、慢性的な自殺の増加がしばしば指摘されていた。人権の尊厳に大きく違背するものだとしてヨーロッパの各種人権団体から厳しく批判されていた。実際にリベラション紙の元編集長が経験した証言でもノミやダニの這い回る、警察の拘置所の不衛生で人権を無視した取り扱いなどが紹介されていた。特にこの問題はラシダ・ダチ前法務大臣の頃に大きくマスコミや・テレビで騒がれていた。

フランス刑務所の非人道的環境が問題になっていたが、先日、ロシアのプーチン首相はフランス訪問の折に、国営放送・テレビA2に出演して、フランスの監獄こそ人権を無視しているのではないかと、人権問題で評判の悪い同首相が指摘したことが、証明されたような事件である。

フランスの人権尊厳の退廃はロシアに批判されなければならないほど深刻なのだということか。人権宣言には市民は何処であろうが尊厳されなければならないとうたわれていて、たとえそれが監獄の中でも人間的尊厳は遵守されなければならない、これが守られてなかったわけだ。

被害者側の弁護士エチエンヌ・ノエル師は、刑務所側では、一室に複数入れることの危険性と囚人の精神的もろさを考慮しなかったのかと指摘している。
当時の刑務所所長のイブ・ビデ氏は、現在ではそれが「誤り」であるとみられるが、「人には予見ができない」と保身の発言を当然のことしている。当時事件の起こった第2棟の責任者であったサンドリーヌ・フラオさんは、この集団収監にはたとえ定員オーバーであっても行政はどちらかといえば好意的な見解を示していたと証言した。
囚人が望んで3人一緒にしてくれと頼まれれば、それで部屋数が空くので、我々には断る理由はなかったと発言している。
ニコラ・コカニュ氏は性的な暴力沙汰で刑期5年を2005年に終えていたが、家族からは医療監房の処置が必要だと要望されていたが、実現しなかったという。

最終判決は金曜日に出るが、今回は無期懲役刑の可能性もある。

(参考記事)
(20ミニュト紙)Le cannibale de Rouen vivait dans une cellule de 11m2 avec sa victime et un autre détenu
http://www.20minutes.fr/article/580205/Societe-Le-cannibale-de-Rouen-vivait-dans-une-cellule-de-11m2-avec-sa-victime-et-un-autre-detenu.php
(ミディ・リーブル.com)
http://da.feedsportal.com/c/658/f/8369/s/b5446c7/l/0L0Smidilibre0N0Carticles0C20A10A0C0A60C220CFrance0ECannibalis
(日曜新聞JDD.fr)
http://www.lejdd.fr/Societe/Justice/Actualite/Le-cannibale-devant-les-assises-201903/