2013年11月11日月曜日

サルコジ仏大統領のグルノーブル「移民差別発言」はブルト労相疑惑を隠せるか

サルコジ仏大統領はブリス・オルトフ内務大臣を連れて7月30日グルノーブルを訪問し、移民の子弟が警察などの国権を代理する者に危害を及ぼした場合には初犯であってもフランス国籍を剥奪する法案を検討すると発表した。これはフランス人と在仏移民との人権を差別した発言となっていて、50以上の各種人権団体及び政党から、同国憲法や欧州の人権擁護にも違反するとの批判がおこっている。(本文の初出 / 公開日時: 2010年8月17日 @ 7:27 )
グルノーブル南近郊のユリアージュのカジノ。写真左側の正面階段を入るとスロットマシンが置いてある。その右奥が両替窓口でここから現金が強奪された。化粧品で有名なユリアージュのアトリエが左後方に見える。(写真撮影/筆者8月7日)


8月から9月のバカンス中に、オルトフゥ内務大臣が中心になって「移民」やジタンなどの「旅の人々」をスケープゴートさせ、7月中に政府を震撼させた フランス大富豪のロレアル社長リリアン・ベッタンクール事件にまつわるエリック・ブルト労働相やサルコジ大統領への政治資金疑惑をメディアの焦点から隠滅させる方策の一つだと見られる。理由は移民や「旅の人々」の安全対策などは、取り締まり調整による交通違反統計の規制と同じで、何時でも何処でもエスカレートさせることが可能なものだからである。

8月10日、早朝にグルノーブル南部のビルヌーブのアルルカン地区を家宅捜査し6人を検挙した。これは7月15日、グルノーブルから南へ15キロほどの丘陵地帯にある化粧品で有名なユリアージュ工場脇でカジノ強盗事件が起きた。犯人は車で逃走し警察との撃ち合いでアルルカン地区でカリム・ブドーダ(27歳)が銃殺された。

グルノーブル南部のアルルカン地区、自動車が60台もやかれて駐車場の樹木が焼けている。犯人は不明(写真撮影/筆者2010/07/31)
警察側ではこの殺害を正当防衛だと発表したが、ビルヌーブの青年たちは抗議し16日からの暴動は3日間続いた。これで近くのパーキングに駐車してあった車60台ほどが焼かれた。ビルヌーブのアルルカン地区駐車場脇を走る電車にも被害があった。警察側は暴動の容疑者及び失踪中の共犯者を探していて、今回は同地区の19歳から21歳の青年たちがグルノーブル警察に検挙された。

警察側によると、ビルヌーブ地区ではアパートの窓から実弾が発砲されたといっている。検挙された6人の内の一人は午前中の審査で事件当時にアルジェリアに滞在していた事がパスポートで証明され釈放された。
グルノーブル南部のビルヌーブ市アルルカン地区。移民の人々が多く住むアパート郡。パーキングの路面には車が焼かれた焼け跡が残る。(写真撮影/筆者2010/07/31)
しかし土地の住民の中には警察とは逆の意見がある。「挑発行為で火をつけたのは彼らではないか」というものだ。「早朝にやって来るたびに警察はドアを壊し家具を壊してゆく」「彼等にどんな権利があるのだろう」と、住民は警察の行き過ぎた尊厳のない介入行為を告発しているのだと、土地の地方紙であるラ・アルザス.fr は伝えている。

7月15日から16日にかけて01時30分ごろにユリアージュのカジノで手袋をつけ覆面をして武器をもった2人が強盗に入り、プジョー205で逃走。02時頃に同氏の住むビルヌーブのアルルカン地区のアパート郡に逃げた。助手席に乗っていたカリム・ブドーダが警察との撃ち合いで、アルルカンの入り口30番の前で射殺された。運転手は行方をくらましたままだ。そのご地区の青年が警察に抗議して暴動をおこした。
グルノーブルのビルヌーブ市アルルカン地区を走る路面電車。パーキングの樹木が一部焼けている。(写真撮影/筆者2010/07/31)
事件翌日の7月17日夕刻、オルトフゥ内務大臣は250人の機動隊を引きつれてグルノーブルを訪問し数分だけ現地視察した。

8月4日ユリアージュのカジノ強盗容疑でビルヌーブ地区の青年4人(内2人は未成年)が逮捕されたが、どのような罪科もなく釈放されている。


【 参考記事 】

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