2013年11月11日月曜日

仏で外国人に白羽の矢、仏大統領発言、警察に対する暴力は国籍剥奪と

30日フランス東部のアルプスの首都グルノーブルを訪れたサルコジ大統領は、これまでは再犯者のみに適応されてきたフランス国籍剥奪を、外国人が警察などの国権の委託者に対する悪質な暴力を行った場合にはすべての形体において初犯でも国籍が剥奪される法案を、バカンス明けの9月の議会で審議することを発表した。グルノーブルのサンテニャン地区では青年がカジノで現金を強奪して逃走。追撃した警察と撃ち合いになり青年は射殺された。警察側は正当防衛だとしているが、殺害された青年を支援し多くの青年たちと住民が警察に対し抗議した。そのなかで警察に対する住民の復讐行動が激化して警察が脅迫されているという。このような状況の中で、サルコジ大統領はこの地方の知事を大統領寄りの知事に交代し、今回の提言となったわけだ。この措置は最近訪問したノルマンディー地方のサンロー市でも住民から野次を浴びせられたサルコジ大統領は、同様に当地の知事を早速に処罰し代えている。(本文の初出 /公開日時: 2010年7月31日 @ 18:45

フランスの古城めぐりで有名なロワール地方のブロワ城やシュノンソー城のあるオンザンやサンテニャンの町では、警察と「旅の人々」の小競り合いが起きている、これは警察に交通検問を受けてストップした車が再度アクセルをかけたために射殺された「旅の人々」と呼ばれるフランス中をキャラバンなどで渡り歩くフランス人青年の死が引き金になっていた。車に同乗していた従兄弟は、「なぜ助手席にいた者を撃って、運転している自分を撃たなかったか?」といって抗議している。「車を止めるなら運転手の方を撃つべきではないのか?」というのだ。移民や郊外青年と警察の小競り合いが最近特に多発しているフランスでは、権力による統制と治安をサルコジ大統領は目指しているようだ。

フランスの国籍取得も従来のように、成人と同時に自動的に国籍取得は移民の子弟の場合にはできなくするとサルコジ大統領はいっている。そして大統領は「国家の権力を背負っている警察に銃をむけることは、けっして立派な行いではない」としている。たしかに後者は当然のこと立派ではないだろうが、前者ははたして当然なのだろうか。移民は法律によってフランス人とは異なる規則を与えられるべきなのだろうか。あまり気がつかないことだが、サルコジ仏大統領の演説の特徴は二つの別なことを混ぜて行なっていることだ。

ジタンやロマ人とよばれる東ヨーロッパからの移民はフランスでの定職を見つけるのは困難な場合が多いようだ。この人たちの不法キャンプをフランスは許さないとして、一刻も早く法律化を計って今から9月末までに取り壊して、国外に追い払うといっている。サルコジ氏は3ヶ月後にはその半数のキャンプがフランス国内から取り除かれることになると見ているという。
今回の事件は多くのことを考えさせる。特に、フランス人とは特殊な存在なのだろうか、いったい何なのだろうか?外国人とは何なのだろうか?という問題である。共に人間であるという共通の基盤の認識が次第に軽くなっているようだ。そこには多くの市民戦争のような様相を呈して対立の溝が掘られてきている。やはり人間という絶対的な価値がヨーロッパで揺らいでいるからであろう。政治や経済では解決できない問題にようやく遭遇し出して来たということだ。
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