2014年1月20日月曜日

ヴァルス仏内相がシリア聖戦の仏青年を危惧 人種差別の怨念の選挙利用はいけない

19日、マニュエル・ヴァルス仏内相はグラン・ランデブー(ヨーロッパ1、ルモンド紙、iTélé共催番組)に出演しフランスの高校生が聖戦組織で戦うためにシリアへ行っていることに触れ、特に彼らの帰国後に事件がフランス国内で起きていることを危惧しているとのべた。インタビューで答えた同高校生の友達は聖戦というだけではなく、人道的な理由もあるのではないかと話している。

トゥールーズ地方の15歳の高校生2人が親にも知らせずに「聖戦」に参加するためにトルコ経由でシリアへ出かけたことがわかった。現在、7百人ほどのフランス人がシリアのバッシャール・アサド大統領の軍隊と戦うために出かけているという。

英国では聖戦参加後に帰国したものは国籍が剥奪されるというが、フランスではそのような処置は効果的ではないとヴァルス仏内相は答えている。同内相はインターネットでの特にユーチュブでの聖戦の呼びかけや徴集を危険視しているようだ。フランス国内のイスラム教徒指導者にもこの問題を呼びかけている。

しかしヴァルス内相は、2012年の大統領選挙前に起きたトゥールーズとモントーバンで起こったユダヤ学校での生徒と教師、及び仏軍兵士の連続殺人事件の犯行がアフガニスタンなどを訪問して訓練をうけてきたモハメッド・メラ青年によってなされたことには触れなかった。

メラ青年はメディアでの大きな話題になって大統領選挙に大きな影響を与えた。それは反テロと結びつけたフランス右派の反イスラムの潜在意識を湧き立たせ反移民のナショナリズムを高潮させる結果になった。これはもちろんフランスでは人種差別の怨念を焚き付けることになり禁止されている行為である。

このメラ青年の特殊警察部隊による射殺は全フランスがメディアの報道を前に注視した。サルコジ前大統領の内相クロード・ゲアン(前エリゼ大統領官邸書記総監で元警視総監)によって指揮された一大スペクタルの観をていしていた。

しかしこのようなやり方で大統領選挙の票に結び付けようとしているのではないかという疑惑が次第、次第に長引く事件の成り行きからわかってきたのか、また批判的な対抗的メディアの報道やメラ青年に殺害された父親の政府への抗議なども手伝ってか、野放しにしてきた政府の責任が問われ始めて見え透いた手口であることがフランス一般の人々にはわかってきたようだ。

そのためにか、結果的にはサルコジ氏は2012年の大統領選挙に敗れている。

今回のトゥールーズ地方での事件は、2012年の大統領選挙の直前に起きたトゥールーズとモントーバンでの仏軍人及びユダヤ人学校での生徒と教師殺害のメラ事件と連続したものであることはいうまでもない。