オンフルーのサント・カトリーヌ教会のクレッシュ (写真撮影は筆者2014/12/25) |
ナント審議会がキリスト教の伝統であるクレッシュ(動物や人形によるキリスト誕生の表現)をキリスト教徒の強いフランス南西部のバンデ市の公共の場所から排除したことは、1905年の政教分離法(ライシテ)に基づいているもので、決して可笑しなことではない。信仰を持つ持たない、あるいはキリスト教徒であるかそうでないかにかかわりなく、特定の宗教行事の神技を様々な思想や宗教を持つ人々が住む公共の場に持ち込むことを拒否することがフランスの主張するライシテの精神なのである。
だからといって、そこで極端に曲解してみせて、ライシテはフランスのキリスト教文化の伝統を尊厳していないと反駁し、直ちに、それならばクリスマスは廃止されるべきだろうと論じることのほうがよっぽど可笑しいのである。そういう人は、ライシテの精神を理解しようとしたくないからだ。ライシテは、異なる宗教を持つ人々が仲良く一緒に暮らすための法なのである。
ひとつにはどんな宗教でも信仰する自由は一応尊厳されなければならない。しかし自宅とか教会の中とか寺院の中である。フランスの伝統だからといって、私的な宗教と公共的な場所や政治とを混同して一緒に考えてはならないだろう。
キリスト教の伝統といえども、その前の長い人類の歴史であったパイヤンの多神教を破壊し滅亡した後の、わずかな2000年そこそこの短い歴史しかないのである。
キリストの誕生を祝いにヨーロッパだけでなくて、わざわざ遠方のアジアやアフリカからトワ・マージュ(三博士)がやってくるというのも、キリスト教の独善的な世界君臨の仕掛けのようにも思えて、全世界の異教徒としては納得が行かないものであろう。
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