2015年5月1日金曜日

崩れるサルコジ防御の一角 仏大統領選挙運動の「二重帳簿」が追認

2012年の仏大統領選挙でサルコジ候補は選挙運動資金許容額の上限を超える緊迫した状態にあったことを同選挙の会計係が知らせていた。しかしサルコジはそれを知らないといっている。サルコジの選挙運動責任者ギィヨーム・ランベールはこの4月初旬からサルコジ選挙の二重帳簿事件調査の容疑者の一人として起訴になっていた。ランベールはサルコジはこれを知っていたのだと追認した。4月30日にフランス通信(AFP)が明かした。
これまでサルコジは仏大統領選挙運動許容額を超えていることを知らなかったと主張してきている。しかしサルコジの選挙運動費用が異常な二重帳簿で請求されている。実際にはやりもしなかった公演会場の使用費などが請求されていたりして、これが問題になっていた。

しかもそれで金が無いといってサルコジ候補自身が支払うべき大統領選挙運動許容使用金額を超過金を支払わなかったために、国民運動連合(UMP)が超過違反額の罰金を肩代りして払った。これは違法なためこれらを批判されたジャン・フランソワ・コッペ前議長は辞任した。サルコジは更に、支持母体である国民運動連合(UMP)党員から自分は金が無いからといって、「サルコトン」なる募金システムで金集めをしている。

選挙運動資金の二重帳簿がサルコジの大統領選挙運動での舞台設営会社ビグマリオン(Bygmalion)社の子会社エヴァン・アンド・シー(Event & Cie)に対して、その出費額185万ユーロ(約 円)をサルコジ自身の選挙運動会計からではなくて、国民運動連合(UMP)が肩代りして支払いを行なっていた。その目的は、サルコジの大統領選挙運動費用とは別会計の二重帳簿で講演会などの出費が計上されれば、サルコジ自身の仏大統領選挙運動許容額の上限を回避できると見て行なったものとされている。結果的にはサルコジは仏大統領選挙に負け、この上限額を超えて違反した選挙運動資金額となってしまった。しかしながらこのような犯罪である二重帳簿の組織的な資金繰りは。サルコジの得意とするものであったということが指摘され、罪に問われなければならないだろう。

すでに検事は10人の関係者を起訴している。起訴されたのは、ビグマリオン(Bygmalion)社の元幹部4人。その内の3人はこの犯罪に参加したことを認めている。国民運動連合(UMP)前幹部ら3人とサルコジの選挙責任者3人の計6人。この内に、今回初めて、サルコジ自身も選挙運動資金の超過を知っていてやっていたことを認めた、サルコジの仏大統領選挙運動責任者ギィヨーム・ランベールがいるわけだ。が、彼らは二重請求書とのかかわりはなかったし、サルコジも無関係だといっている。
2012年のサルコジ候補の大統領選挙運動資金の出費が違法な請求書偽造であったことが内部告発されたのがビグマリオン事件だ。

AFPは本件に詳しい証言者の話として、2012年の仏大統領選挙の第一回目の投票日の6ヶ月前の3月7日の記録には、大統領選挙運動費法定上限額225万ユーロ(約33750万円)を超過して231万ユーロ(約34650万円)になっていた。その後の第二次投票までに予定去れている15ヶ所での講演会出費額を考えると完全な超過額となることを会計係はサルコジに訴えていたのだという。

2012年の仏大統領選挙というのは、第一回目と第二回目の投票日の間に大きな事件として南仏地方のモントーバンとトゥールーズで起こったイスラム主義者モハメッド・メラ青年による連続殺害事件があった。メディアはこの事件を必要以上に報道して反イスラム主義者が多い右派系フランス人の投票行動に影響を大きく与えたと思われる。

サルコジはこのメラ事件後に、第二次投票への戦いを呼びかけ、「緊縮財政」で「やるように指示」していることが会計係が記帳していた。サルコジは会計係に対し、「1000人くらいの小規模の市民集会で」「安く抑える」ように答えていたという。

しかし国民運動連合(UMP)総長エリック・セザリ(Eric Cessari)は、サルコジは毎日でも市民集会を開催していくことを希望していたといっている。そのためにサルコジの20012年の大統領選挙運動講演会は、大きな会合だけでも全部で40回以上を数えることになった。

会計係の別の4月26日の記帳では、サルコジの選挙運動資金の超過額は第一次投票時で184万ユーロ(約27600万円)となっている。最終的な超過額は213万ユーロ(約31950万円)となった。