2015年5月3日日曜日

ウェブスター見解は 国際法ではなく武力行使の集団的防衛論とは相容れず

ウェブスター見解に対する大きな疑問がいくつかある。1837年12月29日夜に英国船が海賊に協力したアメリカ船に介入しこれを破壊したために米国船カロリーヌ(Caroline)はナイアガラで沈没してしまう。このことで米国家書記官のダニエル・ウェブスターが抗議して、米ワシントンの英国大使であったヘンリー・フォックスに1941年4月24日に抗議を提出したのが、ウェブスター見解(DDoctorine Webster)なるものと理解しています。これは国際条約でもなんでもないということです。

ですから、緊急時の自己防衛の方法で、英国が軍事力で米国の船に介入した手段の選択に疑問があるということがある。二つ目は先に武力によって攻撃されてない場合には、軍事的反撃というのはたして正しい選択なのかということです。これとは別に、集団的自衛権のことを言えば、これは自衛権を盾にした軍隊の武力による反撃行為の正当化を狙っているということです。一番大事なことですが最後に、これはカロリーヌ事件の場合でもそうですが、この「自己防衛」の思想でも、また「集団的自衛権行使容認」の現在の問題でも、やった方もやられる方もまた反撃する方も、いずれの場合でも、簡単に人を殺害することが許されているということです。物を取られたから、車を傷つけられたから、泥棒されたから正当防衛なので、爆弾をはなって、また空爆して人を殺害してもよいという思想です。逆にいえばはじめから、集団的自衛権を認めるところに武器で人を殺すことを許す欧米の人間不在の思想があるのです。いまこれを日本は受け入れようとしている。「ウェブスター見解」は、見解であって国際法でもなんでもないということです。そしてこの見解は安易な武力行使の反撃を許すことに抗議しているのではないでしょうか。