2015年10月9日金曜日

欧州移民・難民受け入れで ドイツは果たして「モラルと倫理の政治」をやってきたといえるのか?

メルマガ的なジャーナリズムが嫌いなので、ビジネス日経に登録していません。難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断
「モラルと倫理の政治」は、ドイツと英仏間の格差を歴然とさせた2015年9月10日(木)の
熊谷徹さんの書かれてレポートの初めのぺージだけが見えましたので、そこでの私のコメントです。論者がいうようにはドイツは難民受け入れには初めから、メルケルさんは積極的ではなかったのです。(パリ=飛田正夫 2015/10/09 16:37日本標準時

ドイツは労働人口が少ないから経済移民の、しかも医者とか学者とか専門技術者を選択して優先的に受け入れていた。それが問題になって、フランスのオランド大統領がメルケル首相とヨーロッパの地中海を渡る移民・難民の悲劇を、ヨーロッパの人権価値に照らして介入しなければならないという風に、動きが変わってきたのです。

そのなかでドイツが東欧からの難民を追い返す事件がドイツ南部で起きて(私もこの時にシュットガルトにいて写真の多い「ビルド」を見て知ったのです)、ナチスの再来を彷彿する人種差別の国だと批判される危険性が出てきた。

それでメルケルは態度を一変させたのです。その頃に難民の原因が、貧困による経済移民ではなくて、サルコジ前大統領がリビア反体制派の暫定政権を表明する国民評議会(NTC)を支持して、リビア経済の下部構造まで破壊した空爆をやったことなどが原因となり、リビアは再興の困難な無法地帯となっていたという認識が出てきたのです。

リビア国は取り締まる政府も無い状態で、アフリカや中東からの移民・難民をヨーロッパへ送り出す無頼漢のはびこるボート基地になってしまっていたことがわかってきた。シリア難民も同様で、独裁者アサドを放任させておいた欧州勢の責任があると、このころに独仏共同でのトーンが変わってきたのです。移民・難民問題が欧州の責任であったことが次第に意識されてきたのです。

この熊谷さんのレポートを全部読んでの批判ではないので、細かい批判はしませんが、英仏は移民・難民の受け入れは、今に始まったのではなくて、(英国は今夏に、二転三転しましたが)昔からしてきた国なのです。

【参考記事】
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/090900005/?n_cid=nbpnbo_fbbn


難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断

「モラルと倫理の政治」は、ドイツと英仏間の格差を歴然とさせた