2016年3月31日木曜日

リヨン大司教バルバラン枢機卿を初の家宅捜査 未成年キリスト教徒への性的暴行事件で 

(パリ=飛田正夫2016/03/31 5:21日本標準時)リヨンの聖職者が犯した青少年への性的暴行でリヨンの予審判事は予備調査を開始しているが、今日30日にはリヨン大司教フィリップ・バルバラン(Phillippe Barbarin 65歳)への家宅捜査が初めて行われた。この事件が縁となって、リヨンの大司教区では別の司祭からもペドフィル行為があったとして第5番目の訴えがでた。犠牲者になっていたのは現在は仏内務省の高官で、2月にリヨン検事に会っていて、3月29日に公式に告訴した。この高官は、多くの聖職責任者の中で司祭のペドフィル行為を知っていながら裁判所に報告しなかったとして、特にフィリップ・バルバラン枢機卿を批判している。リヨンの大司教は、カトリック教会の神父を指導しなければならない立場にあるのに、2007年から2008年の15歳以下の未成年者への性愛行為=強姦罪を知りながら、裁判所に通告しなかった通知義務怠慢と他への救済義務の欠落の罪で告訴されている。これが問題視されるのは、聖職者であるならば当然のことなのだが、それ以前の人間としての義務にさえ欠陥がある行為であるからだ。キリスト教は聖職者や大司教さえも正しく導き救えないのだから、平信者の心はどんなにか淋しいことだろう。

この事件のはじまりは、25年前にリヨン郊外の司祭ベルナール・プレイナ(Bernard Preynat)神父による未成年者ボーイスカウトへの1986年から1991年の間になされた性的行為で、神父は4人の証言で1月27日に起訴され3月4日から証拠物件を探す予備調査が開始されていた。

バルバラン大司教は、今のフランス・カトリック教会の指導陣の中では唯一、ローマ法王のフランソワ16世教皇とも親しい仲にある人物だ。バルバラン大司教は、2015年のフランス全土を揺り動かした「すべての人の結婚法」は世界で16番目の国としてホモ結婚法案をフランス議会は議決したが、これに100万人の街頭反対デモを組織したフランス・カトリック教会の中心的な指導者であった。 

今回はその監督する立場にあったフィリップ・バルバラン枢機卿が、キリスト教徒の未成年者の性的犯罪行為を知りながら、市民の義務を守らなかったことから、キリスト教会の5人の聖職責任者の一人として訴えられ、家宅捜査を受けた。


【参考記事】
http://www.lemonde.fr/societe/article/2016/03/30/agressions-sexuelles-par-des-pretres-les-locaux-du-cardinal-barbarin-perquisitionnes_4892693_3224.html

http://www.france24.com/fr/20160315-lyon-affaires-pedophilie-cardinal-philippe-barbarin-plainte-valls-eglise
http://www.leprogres.fr/lyon/2016/03/30/affaire-barbarin-l-archeveche-perquisitionne

http://www.20minutes.fr/lyon/1816507-20160330-pedophilie-lyon-fonctionnaire-officiellement-depose-plainte-contre-cardinal-barbarin
http://www.bfmtv.com/societe/affaire-de-pedophile-premieres-perquisitions-a-l-eveche-de-lyon-963072.html