2016年5月27日金曜日

テレビ出演デバで メランション氏が仏ストを正当化

今、フランスで話題の労働総同盟(CGT)のストライキだが、このストが全国的に波及して市民の自動車のガソリン枯渇や原発基地の電力低下スト、新聞発行阻止など民主主義を揺り動かす大問題に発展して、市民の社会生活を脅かしている。このことで、CGTを支持する左派党共同議長のジャン・リュック・メランション氏を、昨夜26日のフランス国営放送テレビA2の深夜番組が招待したのはタイムリーであった。非常に倫理の筋の明晰な方だが、完全に民主主義を逆手にとっての論議である。共産党や労働総同盟(CGT)を支持している人にはとても痛快なものであったに違いない。しかし、論議の根には、今の政府は40人ほどの大臣がフランスの国を牛耳っているので民主主義が実現されてないと指摘して、それを論拠としてメランション氏は、今の政府は少数者支配だ、我々はその民主主義を認めないのであり、少数のCGTがストでフランスに要求しているのは可笑しくないという論理でメランション氏の意見は展開されている。

この時の人を、同局のメイン・ナウンサーのダビッド・プジャダス氏と、同局の政治担当責任者ナタリー・サンクリックさんとフランソワ・アングレ氏が質問に立ち、異例の2時間に及ぶ長時間のデバ(論争)をおこなった。スタジオには観客が多数招待され、そこにも質問者が準備されていた。ヨーロッパ・エコロジー・緑の(EELV)前書記長で、住宅相に最近就任したエマニュエル・コスさんも、メランション氏にデバを挑んだ。

メランション氏は前後・左右から包囲されながら、厳しい質問攻撃を受けたわけだ。今回のデバは1対1ではなく多数対1人の形で行われた。そのために、虐めの性格が露わにでていた。その罠の中に入って論議するメランションは一匹のライオンの如き風貌が漂っていた。

メランション氏は総薙ぎ倒しの論陣を張って、すべて負かしてしまって、独自の主張を貫いた。詳しい数字は忘れたがメランション氏を大統領に支援することに好意を示した人が同番組視聴者の30%前後にも最終的にはなっていたようだ。

メランション氏は2時間に及ぶ総攻撃の中で凱旋将軍の如き落ち着きと威厳をもって国営放送テレビA2の右派系ジャーナリストの誤りを糾し不足を補いして口を塞がせるほどの論客ぶりで、これを見るテレビ視聴者の同氏を評価する支持率が大きく変化した。メランション氏はこれにきわめて満足であったようだ。

それでも彼は、彼一流の人を引き付ける理論家であって、実況中継中に調査された世論調査会社の統計では、テレビ出演の初めと終わりの方では大きな同氏への評価の異なりが出た15%近くもポイントを稼いでいる。