2016年6月14日火曜日

ラマダン期間のテロはより価値がある 米国もフランスもイスラム原理主義の手の中へ

(パリ=飛田正夫6/14/2016 10:57:21 日本時間)ラマダンの期間にテロを行うことは、神へ使えることがより価値が上がるというイスラム原理主義の思想にかなっているために、今、フランスや米国でテロ襲撃事件を頻発させる背景になっているとも指摘されている。この思想は人を殺害してはいけないという世界の常識や宗教的・倫理的価値を顚倒させているものだ。しかしながらキリスト教もイスラム教も日本の神道や創価学会もそうだが、人間を絶対に殺害してはならないという教えではないし、なぜ人を殺害することが良くないかを詳しく説いてはいないのである。現在の米国やフランスではテロリストによる殺戮が繰り返されて一種の生き地獄の修羅場を見る思いだ。もしも今後、極右派のトランプやペンやサルコジが2017年の大統領選挙で勝利することになれば、イスラム教徒と戦争になりかねない。しかし今の彼らの発言を見ていると、世界はそれに乗りつつあるということだ。

14日15時に仏共和国検事が記者会見し、13日夕刻に殺害された警察は自宅の前で刺された。犯人の25歳の隣町のマント・ラ・ジョリに住むフランス国籍を持つ青年は、警察の妻と子供を人質に家屋の中に立てこもり、警察側との交渉が決裂し特攻隊が突入し犯人を射殺したのが深夜少し前となっていた。犯人によって殺害されていた警察の妻ジェシカさんもマント・ラ・ジョリの警察所で事務をとっていた警察官だ。殺害の時間がいつなのかはわかってない。

ジェシカという名前はユダヤ人に多い名前であるが、熱心なイスラム教徒であったという犯人の青年は、過激化したテロ行為をダエッシュ(Daesh=IS)の指示のもとに動いて、殺害を行ったようだ。

殺害された警察夫婦と個人的に宗教的な対立があったのか?すでに多くの刑務所を廻って来たという青年が怨念を持っていたのかは今の所はわかっていない。青年の家には両親はモロッコに帰っていて不在で、1人暮らしだった。家の中にはナイフが3本と「コーラン」が見つかっている。また警察やジャーナリストや著名人の名前が殺害すべきリストとして発見されている。テロを実行するのに許可は求めないとも書いてあったという。

フランスはこういう恐怖が現実化しているなかで、警察も昨年末の11月13日夜に起きたサンドニ競技場とパリの同時テロ射殺事件以来、動員に次ぐ動員で疲れ切っている。フランス国内には、ミリアム・エルコモリ(Myriam El Khomri)労働大臣の労働法案取り消しを迫るデモの暴動取締りや、その後の飛行場や駅の爆発物検査など、またユーロ杯のサッカーでのフーリガン暴動の取締りなどで疲労困憊している。


14日朝には追い打ちをかけるようにしてこの警察殺害事件に対しサルコジが発言し、フランス共和国が狙われたのだと、火に油を注ぐよういな発言をしている。警察を16000人も削減したのはサルコジでなかったか。今日はパリでの労働法取りやめ要求デモには労働総同盟(CGT)だけでも全国から600台のバスを使ってパリに上がってくるという。フランスは内部の労働者の抗議に揺れ、外部からは大洪水やテロ殺害で怯えている一般市民の姿というのは戦火を前にした瀕死の姿で痛々しいものだ。これを喜ぶ反政府側の動きやアナーキストたちの活動が二重三重に重なり合って現れてくるだろう。理由は既に述べたとおりである。