2016年のサッカー・ユーロ杯はポルトガルが1対0で延長戦までもつれ込んでフランスに勝利した。ポルトガルの攻撃主力であったロナルド選手が試合開始15分後にフランスの選手とぶつかって膝の痛みが悪化して退場した。ドナルド無しでポルトガルのチームは、これまであらゆる国際試合で優勝はできなかったのが、今回初の勝利を成し遂げた。それは何によるのだろうか?観戦していてサッカーというのがかなり反則や違反を承知でやっている胡散臭いスポーツであるということを感じていたのだが、フーリガン暴動があったりメディアの過熱した扇動報道も気になった。フランスのサッカー選手が歌手になって浮かれているのも、あまり関係のないことだと思っていたら案の定、最終戦では大して活躍しなかった。フランスのチームには何度ものチャンスがありながら、ボールがゴールを避けたのである。反則の多い事はそれだけ人為的なスポーツだと言えるが、ゴールにボールが入りそうで入らないというのは別の何かが有るようだ。
それは運というものかもしれない。簡単に予想できないものがあって僥倖をもたらすということかもしれない。そんなものを信じないのだが、それを招きよせたのはやはり人間の驕りや傲慢さを廃した誠実さや努力がスポーツでの情熱や団結の力とに結実しているのかもしれない。そういう不思議な力まではスポーツの単なる練習では実現できないし、それを鍛えることも難しいと感じた。
そういう意味ではポルトガルが優勝したのは、スポーツが金や名誉に縛られない純粋な人間の表現として考える場合には非常に良かったのではないかということだ。フランスが優勝すれば経済が0,6%良くなるとか負ければ0,4%悪くなるとか本気でメディアが話題にしていることが可笑しいのである。
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