22日16時30分にフランソワ・バイル民主運動党(モデム)議長が中道派の仏前経済相エマニュエル・マクロン氏の2017年の仏大統領選挙候補を支持する声明を出した1時間後にマクロンはバイルに歓迎の返事をトゥイッターで送った。23日に両者はパリのシャイヨーの丘に近い東京宮殿のレストランで焼く時間以上会談した。考えも年齢も住まいも対照的だが、フランス国民がフィヨンやル・ペンの架空雇用公金横領の暴露のなかで政治に疑惑を持っていて、この仏政治の危機観を共有した模様。二人はこの危機と疑惑に対しこの中をどう切り抜けていくか?マクロンはバイルの経験を生かして中道サントルをどう再生し拡大していけるかを思索し始めた。
22日、政治学者のパスカル・ペリノー氏は今までの大統領選挙とはことなり、オランド、サルコジ、ジュッペなどの大物が出馬できなくなったりしなくなった今回の選挙で、いま仏大統領選挙候補に出ているのはル・ペンもマクロンも二番手役で政治経験が浅いと深夜のテレビで指摘している。
正確にはこの指摘は誤っていて、マクロンもアモンも閣僚経験者である。しかしながら余り期待できないという点では、サルコジはビグマリオン事件で起訴された大統領だしフィヨンは妻ペネロップを仏議会アシスタントとして架空雇用した45000ユーロ(約675万円)の公金横領罪で仏国家財務汚職担当刑事が調査続行を止めないことを決めたばかりである。マリーヌ・ル・ペンの極右派系国民戦線(FN)のガードマンや選管事務局長も欧州議会の架空雇用で公金横領罪で起訴された。
その意味ではペルノーの指摘は当たっていて今回の大統領選挙候補者の獲得票は投票率20~30%台で勝負となると言われている。
昨日はマクロンにバイルが共闘したことがどんな意味があるのか有利に働くのかでFRANCE24などでデバがあった。バイルの存在は投票行動に意味を持ち得るのかというテーマであった。
中道サントルというのは左右から票を取ってこなければならない。社会階層的にはマクロンの支持者はホワイトカラー層が22%~25%あるが、労働者では14%~15%と少ない。今回、バイルが合同したことで南西フランスの農民や、バイルがキリスト教徒であることからそこからの支持が得られるとしている。デバではバイルの合流はフィヨンに取って痛撃であることを隠す論議で、この点は余り話されなかったというよりはメディアは希望してないのでると見た方がよい。バイルの影響は少ないと見たかったのだろう。しかし23日朝の世論調査の発表では全然これとは異なりマクロンとバイルの合流はフランス市民に歓迎されている。
バイルの持ち票率は6%ほどだがその内の4%前後がバイルと一緒にマクロンに流れると見られている。2%前後はフィヨンに行くと考えられていたが、バイルとマクロンが合同したことで信頼が大きく膨らんで、予想に反する23日の世論調査の結果となったようである。今後は左派や右派からのフィヨン・バイルの中道サントラルへ流れ込む可能性が高くなったといえる。
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【参考記事】
http://www.liberation.fr/apps/2017/03/compteur-lacheurs-fillon/
http://france3-regions.francetvinfo.fr/paris-ile-de-france/paris/anne-hidalgo-appelle-fillon-renoncer-au-rassemblement-du-trocadero-1207755.html
http://www.liberation.fr/france/2017/03/04/la-semaine-ou-francois-fillon-a-annonce-sa-future-mise-en-examen_1552822