(パリ=飛田正夫 日本時間;17/06/2017-09:43)仏下院選挙では現職の大物議員が既に第一次投票で大敗して落選している。例えばサルコジ前大統領の講演原稿を書いていた元エリゼ大統領官邸特別書記官アンリ・ゲイノ議員「共和党」(LR)は今回は4,5%の得票率しかなかった。完全に無視された。社会党の総書記長ジャン・クリストフ・カンバデリ議員や国民戦線FNのスポークスマンのニコラ・ベイ議員も落選している。ゲイノ議員は大統領選挙の時にサルコジもフィヨンも参加した「共和党」(LR)のプリメールを経ずこれを回避して独自に立候補した。市長や議員など500人の支持数が得られずに2017年の仏大統領選挙予選候補者にさえ成れなかった。このことがあって下院選挙ではイブリーヌ県で前回5年前の第二次決選投票で61,8%を得たゲイノだが、今回の敗北は党から支持を得られなくてしまったからだと語って、11日夜に政治生命を断つ宣言をした。
「共和党」(LR)はサルコジのビグマリオン事件やフィヨンの妻子を使った架空雇用公金横領などでサルコジ大統領の起訴事件を指摘し批判していたフィヨン首相が、今度は起訴される番となって、汚れた信頼できない政治家をフランス国民だけでなく「共和党」(LR)の支持者が嫌っていることが指摘されている。
そこにマクロン党の独走があり、フランソワ・バイル法相のモデム(民主運動党)議長との共闘が無くとも過半数議員を獲得できそうな勢いである。バイルの片腕のサルネーズが欧州議会での架空雇用が騒がれている中で、一昨日に出たカナール・アンシュネがバイルも同様な事があったと指摘されている。マクロン党だけが正義だとは思えないが、その一党独走には民主主義の危険信号が鳴っているように感じられる。
マリーヌ・ル・ペン総裁周辺での欧州議員秘書等の架空雇用公金横領事件も同じで、仏極右派国民戦線(FN)の人気が急減している。
仏社会党(PS)のカンバデリ総書記だけでなく社会党全体の当選議員の予想も期待できなくなっていて、マクロンが対抗候補を回避したマニュエル・バルツ前首相が長らく市長を務めたエブリー地区だが、ここでも決選投票ではバルツが危なくなっている。前教育相のナジャット・ヴァロー=ベルカセムさんも当選が危うくなっていてトビラ前法務大臣とアンヌ・ヒダルゴパリ市長が現地に支援に駆け付けた。有名な議員が当選できないと騒がれているが、ラマヤダ国家書記官はサルコジ時代の人権擁護特別大臣でもあったが、サルコジとクッシュナーが彼女の役職を払拭して無くしてしまったことで知られているアフリカのガーナ出身の女性で一時は人気のあった人だが、今度は当選しないと見られている。
ヨーロッパ・エコロジー・緑の党(EELV)前共同議長セシル・デュフロさんは第一次投票で落選している。た。ミリアム・エルコモリ前労働大臣は、パリ第18区で競争候補のブロノゼールに第一回投票で先行されて、マクロン支持を表明したばかりだ。
共産党と母胎とする「虐げられないフランス」(La France insoumise)の中心者メランションの党は苦戦しているという。既に18日の第二次投票での結果が予想されているが、投票率は史上最低の50%を切ると見られている。
ニコラ・ディポンテェニヤンはマリーヌ・ル・ペンFN総裁と連合したがこのことでFN内部の世襲制への批判や分裂が騒がれている。ディポンテェニヤンは当選しないと見られている。