フランスは離婚や不倫は多いといわれているが、結婚後の不倫の統計といったものは此の国にはないのではないか。しかし、特に政治家の場合にはそれが不倫が絡むとドミニック・ストラスカンのように国際通貨基金(IMF)総裁であって社会党の仏大統領選挙の有力候補だった者が、あっという間にスキャンダル化されて一転して地獄の底に追い落とされていく。彼の性癖を研究していた者があって、バナナの皮を彼の前に投げ捨てられて滑ったのだとも言われていた。罠に嵌ったのだという意見さえも政敵側のサルコジ陣営の政治家から出るほどに驚くべきことが多かった。誰もが不信感をストラスカンに持ち、また持たされるようにメディアが仕掛けたとも見られたのでした。私達はメディアの話しを介してでしか事件を理解できないところがあるからです。フランスでは政治家は一般の人々の離婚や不倫とは違って、やはり人の上に立つわけで世論のスキャンダルは恐いわけです。このスキャンダルは或る意味で権力の無い市民の武器でもあり、権力者監視の現実的行使力を持つ大事な機能ではないかと思います。本来はこの不倫というのは、制度的な法律上の結婚や離婚とはあまり関係がないのではないかと思うのです。つまり恋愛というのは本質的に国家の制度に取り締まれ無いものであるわけで、これを不倫と呼ぶのは、むしろ結婚制度擁護の弊害ではないかと思うわけです。
フランソワ・オランド仏大統領はセゴレーヌ・ロワイヤルさんとは結婚していなかったので、誰と恋愛しようが構わないわけで、演劇関係の女性からもジャーナリストの女性の相手からもそれで特に告訴されたわけではなくスキャンダルにはならなかった。しかし不倫といえばこれも不倫であって、フランス国民から評判を落とした理由の一つではないかと思えるのである。
サルコジの場合には結婚、離婚、結婚と何回も繰り返して、法律的には批判されないガードで固められたとしても、なにか偽善がそこに感じられるがどうだろうか?
ミッテラン大統領の場合にはエリゼ大統領官邸に愛人を秘密裡に住まわせていた。妻のミッシェルさんも辛い思いをしたでしょう。ミッテランがこのことを長期に渡り隠してきたのは、やはりこれがスキャンダル化されて世間の不評を掻き立てられることを恐れたからなのでしょう。
シラク仏大統領はベルナデットさんと、うまく行ってなかったのではないでしょうか。でも不倫とかが話題にさえならなかったのは、性格が他の大統領とは違って厳格であった為なのかもしれない。