2011年2月14日月曜日

仏裁判所がサルコジ発言に怒りの抗議スト、容疑者メイヨン氏は刑務所で自殺未遂


2月8日のナント裁判所のストにはフランス全国から裁判官や弁護士がサルコジに抗議して2000人も集まった。パリ最高裁前にはこの日1500人の司法界関係者が抗議の集会をした。よく調べもしなうちに早急な処罰の詰問をするサルコジのやり方に抗議したわけだ。

2月11日に2人のナントの検事がメイヨン氏に質疑したが、メイヨン氏は依然として黙秘権を行使続けていた。

2月13日、メイヨン氏はジャヴェル水を飲んで自殺をはかったとナントの検事が報告した。同氏はブルターニュの首都レンヌ近くの刑務所に収監されていた。同検事は生命の危険はないといっているが、2月13日夜になってもメイヨン氏はまだレンヌ大学病院にいるという。

1月18日にロワール川の河口のサンナザール造船所の対岸のポルニック付近で18歳のレティシアさんが失踪した事件で主要な容疑者としてトニー・メイヨン氏が1月20日に逮捕された。レティシアさん殺害は事故によるものだといわれていた。しかしその後2月1日にラボー(Lavau)の旧石切り場に水が入った沼からレティシアさんの体の一部が見つかっている。

メイヨン氏は再犯者としていくつか前科があった。

2月3日にニコラ・サルコジ大統領がナントの裁判所を批判して責任者を処罰すると宣言した。これが、世間の注視を集めることになった。

裁判所側では犯罪が増加する一方の中で裁判所も裁判官も削減されていて、裁判所は処理する手段が不足している。5人必要なところを2.5人でやっているという。そのために裁判は総て一緒にはできないので緊急なものから順番に処理しているのが現状だという。

それを理解もなしに早急な責任を要求するサルコジ大統領にフランス中の司法界が怒りの抗議を起こした。ほぼフランス全部の裁判所がストに突入するというかってない事態となった。フランス政府はこの司法界の反乱を世間に見えないように隠すことにやっきになっている。

以下のことは、当時の背景として重要なので記録しておくが、ここでは飛ばして読まれてもかまわない。おりからエジプトのムバラク政権凋落の前夜であった。フランスのテレビでは夜20時からのフランス国営放送・テレビA2の再放送が20時30分から5チャンネルで毎日あるのだが、裁判官の歴史的な大ストライキのあったこの日の再放送は、ナントでの裁判官らのストライキのニュース箇所で、ムバラクの宣言を待つ特別番組に突然切り替わってしまい写されなかった。実際には予定よりも1時間ほど遅れてからムバラクはエジプトを出て行かないと話しだした。

2月10日にこの裁判官のスト抗議の問題に触れてサルコジ大統領寄りの民放テレビTF1に出演して説明したが根本的な改心の余地はないようで自分が正しいとして考えているようだ。

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