当時、サウジアラビアでフランスの武器販売に携わっていた高官などからの証言やド・ビルパン前首相、ミヨン元防衛相と相次ぐ当事者からの証言から、パキスタンへのフランス潜水艦アゴスタ販売契約での手数料(コミッション、賄賂)支払いは相手国の軍や政府関係者にだけでなく、取引仲介者からフランス国政府要人へと逆戻りした手数料(レトロコミッション、汚職)の存在の可能性が非常に高まっている。
1日、体制派のフィガロ紙は、この武器契約調印にサインしている当時のバラデュー元仏首相の大統領選挙のスポークスマンで財務相でもあったサルコジ大統領にかんし「パキスタンへの武器販売には反対の立場だった」とする側近側の意見を報じた。しかし同紙は、コミッションのための隠し銀行会社「エレンヌ」をスイスに設立したのはサルコジ氏であったのはどうしたことかと疑問を指摘している。
当時はフランスの武器輸出には手数料(コミッション、賄賂)が使われるのは合法的であった。しかしフランス国政府要人へと逆戻りして支払われる見返り手数料(レトロコミッション)は国民の税金の横領になるために当時でも汚職の犯罪となり違法であった。これが問題になっている。
シラク前大統領はこのレトロコミッションの資金が還流して対抗候補であったバラデュー元仏首相の2002年の大統領選挙活動資金に使われることを恐れて停止したとされる。カラチのテロ殺害事件はこのシラク氏が当選した5月6日の2日後に起こっている。
コミッションを受け取れなくなったパキスタン側がテロを使ってカラチで潜水艦建造をしていたフランス造船局員に報復した事件と見られるようになっている。
このカラチ仏人殺害事件の鍵となる国家機密文書の開示が今回サルコジ大統領によって拒否されたことで、事件の不透明さを一層増大した結果になっている。
(参考記事)
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