2011年1月26日水曜日

チュニジア革命は導火線、独裁者追放のエジプト、アラブ諸国の革命に飛び火

エジプトの首都カイロでは1月25日、ムハンマド・ホスニ・ムバラク首相の30年の独裁的統治を批判しその辞任を迫る大きな抗議が起きた。カイロにはエジプト各地からムバラクに反対する野党市民や政治家や学生など数百人が内務省前で集会を組織しエジプトの小旗を手に社会改革を要求し、ムバラクがチュニジアのベンアリ前大統領と同じように国外へ出てゆくことを望んでいる。このエジプトの革命は独裁者の追放革命でもあって、チュニジアの貧しい一青年がその口火を切って焼身自殺の導火線となった。が、今イスラムのアラブ諸国へと飛び火している。

フランスのメディアによると、デモの抗議を制する警官隊は2~3万人が出動して水鉄砲車と催涙ガスで退散させていると報道されてた。市内の公官庁街のタリル大広場ではデモのグループは警察隊に小石を投げつけているが警官個人の対応はいつになく弱腰な対応をしているようだ。が、同日(1月25日)夜にはデルタ方面のスエズで2人の青年が警察に殺害された。同様な事件は北部のアレクサンドリアや中部のアシュートや南部のアスワンなど多くの町で起こっている。

前日の1月24日には、2010年4月6日に警察に虐待されて死亡していたアレクサンドリア出身のカレド・サイダ青年(28歳)を追悼する小グループが自由とモバラクの国外退出を要求しての抗議があった。

チュニジアで1人の青年が社会・経済的な貧苦に抗議し焼身自殺をはかったのが導火線となってこれが1月14日のチュニジアのベンアリ大統領の亡命となって、政治的革命を引き起こした。

今回のエジプトの事件は1月の22日に起こったアルジェリアの政府抗議に続くもので、モロッコなどへも飛び火してアラブ世界で圧政されている市民的人権の要求として、また独裁者を糾弾する抗議の運動となってイスラム・アラブ世界を震撼させている。

エジプトの社会に蔓延する失業や政治的汚職の改革を要求する緊張の高まりは、イスラム・アラブ世界に蔓延する独裁体制下での不平等、生活苦などで人生への失望は焼身自殺となって表現された。これはエジプトだけでなくモロッコ、モーリタニア、オーマン、ヨルダンでも起こっていて、同世界での独裁者追放の革命は今後さらなる拡大が予想される。