2011年2月6日日曜日

仏哲学者フィンケルローは、エジプト暫定政権の民主主義移行でムスリム同砲団に疑問視、リベラシオン紙で

左派知識人や青年に人気のリベラシオン紙3日にはフランス人哲学者のアラン・フィンケルロー氏へのインタビューが掲載された。そこではエジプトの歴史のなかには民主主義の伝統があったのか?としてムスリム同砲団(Les frère musulmans)への疑問を説明している。今日(6日)10時からは、ムバラク大統領に1月29日に任命された新エジプト副大統領オマール・スレーマンを中心にエジプト野党最大のイスラム原理主義穏健派ムスリム同砲団を加えての暫定内閣移行を進める話し合いがもたれると、6日朝の「ラジオFrance Info」が伝えた。

エジプトの民衆と軍隊が手に手に戦車や装甲車を前に革命のシンボルとなったタリリ広場を占拠している。今日は日曜日なので親ムバラク派との衝突を避けるためにこうして待機しているのだという。明日になれば軍隊は退去するらしい。

アラブの民衆は本質的に民主主義を欲しることができるのだろうか?この質問にこたえたフィンケルロー氏は、エジプトではムバラク国外退出要求のデモは絶えず祈りの時間によって中断してきた。このデモには潜在的な解放を内包していているが、ムスリム同砲団は、ユダヤ人やキリスト教徒の信仰の逸脱を非難している。また彼等がいう獣的自由つまり混こう性と女性解放と呼ぶところの奴隷市場を批判している。アラン・フィンケルロー氏はこういうムスリム同砲団のイデェオロギーが民主主義実現を目す新政権に持ち込まれるならば民主主義の自由は終焉するだろうとしている。この同氏の思想の根拠には東欧のチェコスロバキアやポーランドの独裁国とアラブの独裁国とに違いがあり民主主義の歴史的伝統の所在が問われているのだと指摘する。

1月27日夜にエジプト人民のためモバラク打倒の運動を支持しエジプトに帰国したノーベル平和賞受賞者で国際原子力機関(IAEA)の事務局長を務めたエルバラダイ氏(68歳)を取り上げて、ムスリム同砲団を単なるイスラム主義者と捉える認識の誤りを指摘し、イランの原子力開発計画では資料のいくつかを隠蔽していたといっている。しかし、フィンケルロー氏はエジプトの民主化の希望を捨てたわけではない。

1月25日以来エジプトの民衆がムバラク大統領の国外逃亡を要求し、多くの殺害者を出した。民衆の批判の高まりを恐れたムバラクはこれを事前に回避しようと内閣改造を提案して、自派の新副大統領を任命し事前に手を打った。オバマ米大統領は、ムバラク大統領を外しての、民衆の平和的な蜂起を支持し権力の移行と正当な選挙を実現することをスレーマン氏と確認している。1月29日、イスラエル内務省高官はエジプトで急進派(ムスリム同砲団)の台頭が問題だと発表した。