2011年5月17日火曜日

カラチ仏人殺害事件法廷　「検死報告書」の消失は　「アルカイダ時限爆弾テロ」犯行説と関係か？

２０１１年５月１６日午後に、カラチ事件の過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ（ＡＱＭＩ）による時限爆弾テロ犯行説を打ち出したブルギィエール元判事への尋問が開始さたが、元判事はカラチ事件の検死報告書の存在を否定する発言をした。２００２年５月８日、パキスタンで１５人（内１１人のフランス人）の死亡者をだしたカラチ殺害事件の予審判事は現在はトルビデェック判事が担当している。が、その前はブルギィエール元判事によって行われていた。カラチの時限爆弾仕掛け人の検死を担当したドミニック・ルコント医師は検死の報告書をブルギィエール元判事に提出していたが予審判事の資料からは抜けて消失していた。また使用された爆弾に関する調査資料も欠落して消えているとトルビデェック判事から指摘があった。

カラチ仏人殺害事件で死亡したフランス人遺族の弁護士オリビエ・モーリス師が要求していたジャンルイ・ブルギィエール元判事を尋問する法廷が１６日に開始された。この意義はこれまでのカラチ仏人殺害事件の犯行が過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ（ＡＱＭＩ）による時限爆弾テロと見なされてきたことに大きな疑問を挟む手がかりになるからでその謎の解明に向けて一歩前進すると思われるからだ。

出廷したブルギィエール元判事はルコント医師のカラチ仏人殺害事件の検死の報告書の存在は知らないと回答した。

しかしモーリス弁護士はDST（国家監視局、現在のDCRI国家中央情報局）はこの報告書を２００２年から知っていたと発言した。さらに続けて同弁士は、ブルギィエール元判事はDSTとの関係が深かかったはずなのに何かを隠していたとでもいうのであろうか？と閉廷後に述べている。

これに対しトルビデェック判事などは、１９９４年にパキスタンとフランスとの間で調印されたアゴスタ潜水艦建造に手数料（コミッション、賄賂）が決められていたが、これを大統領選挙で勝利したシラク前大統領が政敵バラデュー元仏首相陣営へと反流する見返り手数料（違法のレトロ・コミッション）の流れを禁止するために禁止したが、そのことでパキスタン政府側へと流れる別の当時は合法的だとされていた手数料もストップすることになり、それに怒ったパキスタン政府筋がカラチのフランス造船局（ＤＣＮ、当時は国営）の技術者を朝の通勤送迎バスにホテル前で横付けしたトヨタ・カローラに搭載した時限爆弾でテロ殺害した報復行為と見るようになって来ている。

事件直後にカラチを訪問した医者のドミニック・ルコントさんがパキスタン警察によって指示された爆弾の仕掛け人とみなされる遺体の法医学的な解剖検死をした。その報告書の原本を２００２年７月にブルギィエール元判事に提出していたとルコント女医はいっていた。が、この報告書はこれまでのカラチ裁判では予審判事の資料から姿を消していた。そのためにこれまでは問題にならずに来ていた。

その後、２０１１年３月末の法廷で尋問されたルコント医師が報告書の存在を明かしそのコピーをトルビデェック判事に提出していた。

それによると爆発した現場にいた「その人」は立っていたということになる。これまでのカラチ仏人殺害事件の仮定では、爆弾を積んだ車での自爆テロということになっていたはずだと遺族側弁護士のモーリス師は指摘している。

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