2012年1月14日土曜日

逆立ちしたサルコジの司法認識を批判、トルビデェック判事は刑罰の大統領適応を提案

13日、 カラチ仏人殺害事件の予審担当で有名なテロリスト対策専門のマルク・トルビデェック判事はフランスの再犯者問題で意見を述べて、ニコラ・サルコジは再犯者の起こす犯罪を早急に裁かないとして裁判官など司法関係者を攻撃したが、サルコジ政治は司法に関しては鳥の止まり木に吊るした札を並べたに過ぎないとして法案ばかり議決して市民の眼を掠めてはならないと厳しく批判した。 トルビデェック判事 は仏国営ラジオ・フランス・アンフォで最低限の刑罰をサルコジ大統領に適応すべきであるとしている。それは、再犯者に対するあまりにも厳しい罪をおわせたからだと皮肉って話した。同判事は、自分が怒るのは責任者である者が刑罰を要求していることであると指摘し、これは全く逆立ちしたものなのだと話している。

トルビデェック 判事はフランス司法官指導教官協会会長(AFMI)を努めて、司法界の財源の無いことはサルコジ以前からであると話した。そして、現在は司法が権力の手段とされていて確立した強いものでないと理解されてきている。真実の民主的な強いものが無ければならないと話し、サルコジ大統領の議会で提案し決めた法案は、長期的展望のないもので、鳥のとまり木にぶら下げた札があるだけだと指摘した。


フランスはヨーロッパでは住民1人当たりの裁判の手段が不足している国のひとつである。刑務所は人で溢れていて定員オバーであることは以前から知られていて、フランスの刑務所の環境は非人間的なために欧州人権裁判所(CEDH)からも注意を受けている。ブレスレットを装着させられて司法監察下に置かれている人も多くなっていて、当然そこにレティシアさんのような若い女性への性犯罪や誘拐殺人事件が起こることは予想されていたわけだ。裁判所も統合されて数が少なくなり処理能力には限界がでていた。


問題はこうした状況下で再犯者の起こす犯罪というのは十分に予想されていたものだ。これを指摘するのは容易であり、しかも世間が注視する若い女性への性犯罪や殺人を取り上げて(今回のレティシアさんの場合のように)メディアで自分を売り込もうとする野心はなにか道徳的な価値が転倒しているのではないかというのがサルコジ大統領の早急な告発に対する今回の裁判所や警察組合や弁護士らの怒りの表明の裏にある心理なのだと見ることができそうだ。


2月4日、フランス警察組合の中心的なSNOPと SGP-FOではレティシア事件で判事と警察に対して「機能してない。責任者を処罰する」などと早急な告発をしたニコラ・サルコジに対する不満が爆発した。


「リベラシオン紙fr.」によると、SNOPでは「部下に責任を負わせるのは許せない」「権力を持つ者の贖罪の山羊に(我々が)使われてはたまらない」といっているという。また「彼等がさらに優位に立つ結果になるような職務を引き受けることを拒絶する」といっている。同組合は「内務大臣なり裁判所による詳細な検査を待たずに早急に判断しナントの警察と判事を告発して処罰を要求したサルコジ大統領の責任を問うている。


【関連記事】