4日のルモンド紙は欧州原子力安全委員会を担当するギュンター・オエティング(Günther Oettinger) 委員は2011年3月の福島原発事故を受けての欧州原子炉の安全性を調査していたが、このほど最終結論を発表した。その中でフランスの原子炉58基の内の19基は自然災害などの非常時の大事故での救助対策や発電施設などの安全対策が不十分だと指摘され批判されている。そのなかにフッセンハイム (Fessenheim)やトリカスタン (Tricastin)、 カテノム(Cattenom)、ショーズ(Chooz)原発基地も入っている。
同委員によると、一般的には条件は満たしているが、しかし我々はその安全性の確証を得てはないとして、10月1日のブリュクセルの議会で批判の資料が公開された。
欧州の原子力基地には安全性のために100億から250億ユーロ (約2兆5千億 円)の投資が必要だとしている。しかし調査レポートではどの原子炉を封鎖すべきだとかしなくてよいとかの指摘はなくて、選択は各国の事情にまかされた。同レポートではフランスの原子力政策では特に地震などのカタストローフ的非常時の対策設備が英国やドイツに比べて貧弱だと指摘されている。
これはサルコジ前大統領が2012年6月の大統領選挙運動中にフランス最古の原子力基地フッセンハイムを取り上げて山の中にあるフッセンハイム原発には津波は起こるわけがないとカーン市の講演で当時の環境大臣を前に話して仏の原子力基地は安全だと福島を使って相対化させてみせ、カタストローフ的危機の可能性を軽視してみせた。このときに自分は福島を視察してきたのだと嘘の報告で説明している。嘘の前大統領発言はオランド現大統領が暴露したのだが、その後の5ヶ月間にフッセンハイムでは2度の原発事故が報告されている。
その誤魔化しはその後に続く事故の原因であり、また今回の欧州議会原子力委員会の仏への厳しい調査結果であったといえる。国の最高責任者が嘘をつくことが福島原発で犠牲になった人々への蔑視にもなっている。日本の責任ある立場の人たちも同様でそこに嘘があってはならない。真実を隠す嘘が現在の原発事件をさらに悪化させている。
フランスの原発基地は欧州全体の三分の一以上の数があり、仏最古のフッセンハイム原発基地の封鎖をアイロウ仏首相は2016年までに行ない、2024年までに現在の原子力電力の利用75%を50%に縮小する発表をしている。
欧州委員会からの発表はルモンド紙が特報として扱ったが、フランス国営放送テレビA2では地震対策の新研究として原発基地の周辺の地上にいくつもの穴を掘って振動を吸収している実験現場を写しだしてこれが地震対策の新対策だとのニュースをだしている。
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