2013年4月15日月曜日

「総ての結婚」に反対デモが仏各地で 非科学的なキリスト教徒の結婚観

 4月14日、リヨンやボルドー,トゥールーズなどで総ての結婚に反対するホモ結婚決議反対のデモが繰り広げられた。そこには、「1人の子供=1人の母親+1人の父親」「結婚を触るな、自分の失業を考えろ」などとフランスの今の社会情勢を背景にして書かれたプラカードが掲げられて抗議がなされている。リヨン市内のベルクール広場には5000人が集会し天気の良くなった陽ざしの中で折りたたみ式イスを持ち込んだ高齢者も多かったとパリジャン紙fr.は報道した。
 「1人の子供=1人の母親+1人の父親」と書かれた看板には疑問が残る。それは子供が孤児であったり捨て子であったり戦争や病気や事故で両親を失った場合もあり、必ずしも現実ではそうはならないのである。

 フランス人の半分近くが離婚しているので、「1人の子供=1人の母親+1人の父親」として生まれた子供でもそうではなくなる。

 そもそもがカトリック教会の強い影響でフランスのホモ結婚反対のデモが組織されているようだが、キリスト自身がマリヤとヨゼフの両親から生まれたわけではないのだから、このホモ結婚承認法というのはきわめてキリストの原初的な疑問点を現代にまで背負い続けてきているということになる。言ってみればこれはキリスト自身の出自の持つ疑問ということができそうだ。

 このことをカトリック教会の僧侶に話すと、マリアの胎内に宿った神の子供キリストという解釈は現代の試験管ベビーのことかもしれないという私の意見に対し、驚きながらもそのような解釈も可能だといっている。

 この話をホモ結婚法案反対デモに参加したキリスト教徒の女子学生に話すと、「ばかばかしいことだ」と眼を怒らせ私を睨んだ。「そのような僧侶がフランスのキリスト教の僧侶のすべてではない」という、おそらくは一般的な見解も聞かれた。

 私が不思議に思うのは、前述の女子学生はヨゼフは性的な父親ではなくてキリストの養育や教育をする役目があったのだと言っていたことである。それならばキリストはどこかで拾われた子供か養子として引き取られた子供であったと考えるほうがより科学的で理解がいくのではないだろうか。これはまさに現代フランスのホモの養子問題そのものである。フランスの宗教的な罪業が呼び覚まされているのである。

 総ての人々への結婚法案は下院と上院で決議されているが、再度16日から下院で論議が展開されることになった。