Le bassin d'emplois du Genevois français |
フランス国内で雇用が見つからない若者がスイスやドイツなどに就業していることが最近の話題になっている。スイスの新聞「日曜ル・マタン」は「多くのスイスの企業主がフランス人労働者の雇用を拒否している」ことを31日に明かした。銀行や財政関係の分野もそうだが建設部門でも同じでディプロムがあってもそれは見掛け倒しである」と言っている。スイスの職安の匿名希望の職員もフランスの労働者の態度は訴訟狂的であると批判している。 フランス人が「うぬぼれで」「怠け者」だということはスペインやポルトガルの労働者にはないことだとしている。
雇用主側がフランス人をそのことで拒否すればスイスが1999年に加入した欧州域内での自由な労働者や旅行者の往来をうたったシュンゲン協定に違反することにもなるだろうと同職員は言う事を忘れていない。
はたしてフランス人が「うぬぼれで」「怠け者」かということは回答が難しいと思うが。どこにもそういう人はいるのであって特にフランス人の特徴というわけではないだろう。しかしそのような態度を正面から主張し恥じらいもなく表現することにかけてはフランス人は一流なのだと思う。
フランス人がスイスで嫌われるのは勤勉を奨励しないカトリックの思想と合わないものがあるからだともいえる。
スイス人がフランス人をポルトガルやスペインの移民と同じく並べて比較していることが問題でもある。フランスではアフリカやアジアや何処の国の人であっても移民を一部の右派系の人間を除いては不平等に取り扱う事は共和国の精神に反する恥ずかしいものだと見ている。フランス人はたとえそれがスイスであっても、移民の受ける不平等待遇や蔑視を享受しない精神の持ち主たちであるとよく言えばいえないこともないのである。フランス人は労働者であっても自分たちの権利を押し殺してまで懸命に働いてスイス人に媚びたりはしないのだ。
フランス側からアネマスを超えてジュネーブに入るとそこには連続性が全くと言って良いほど感じられない都市の風景が広がる。田舎と大都市の景観の相違だけではない。その断絶がなんなのかよくわからないが、世界の富と繁栄だけを集める国というのはどこか不自然であって、これからの世界はユートピアだけでは許されるはずもなく、ユートピア人の国など存在できないのではないかと思ったりもする。
ジュネーブの湖で(写真撮影は筆者) |
7月の29日にフランスからのスイスへの労働統計が発表された。それによるとフランス側国境付近に住んでいるフランス人のスイス労働者は40%で17300人となっている。スイスで働く、28800人の管理職フランス人の16500人が国境を越えてフランス側からやって来る。 |
【参考記事】