リの北方10キロの郊外の町ビリエール・ル・ベルで2007年11月、住民の暴動で、警察に発砲したとする訴えに判決が下った。このポントワーズでの裁判は、2007年11月25日にモーターバイクに乗ったムッシン君とラカミィ君がパトカーと交差点で夜中に衝突し2人の青年は死亡したその後で起きた住民による抗議の暴動で、警察と衝突した中で起きた銃撃戦で警察側の負傷を訴えた裁判であった。警察官に発砲するのは重大だが、この裁判には証人も具体的な物的証拠もない、人を証拠もなしに裁くのはさらに重大だとポスト【Le Post】は伝え、フランスの民主主義の危機が心配される。(本文の初出 /公開日時: 2010年7月5日 @ 1:23 )
6時間以上かかって7月4日の朝方2時に15年、12年、9年の刑罰が判決がだされたが、被告側住民は裁判所の判決に納得がいかないとしている。彼ら青年達の弁護士も「罪が厳しすぎる」、「政治の裁判への干渉を匂わせる」と批判していて、証拠無しの「空起訴裁判で投獄」される異常性とその民主主義の危機を訴えている。
負傷したと訴えている警察側の弁護士はこの判決に「当然なものだ」として、法廷を賞賛した。
他の2人も銃器所持で3年の禁固が宣告され、3人が殺人未遂として結審された。アブデルハマン氏とアダマ氏ののカマラ兄弟はそれぞれ15年と12年の刑期が言い渡された。26歳のイブラヒマ・ソウ氏は9年。23歳のマラ・カンテ氏は、3年の刑期となったのは殺人未遂罪はなく武器所持罪だけが問われたもの。
匿名証人の取り下げ、新証人聴取などで裁判日程が変更され、ポントワーズ裁判所での審議は6月21日から開廷し12日間に及んだ。多くの被告側の家族もきていて、4日は裁判所のあちこちで涙が流れたとフランスのメディアが伝えている。
被告側弁護士は全員が「刑が重過ぎる」といっている。「確証が無いのに、刑罰が重過ぎる」とモラド・ファレク弁護士はいう。また、「裁判は尊重すべきだが、この裁判は全然理解のいかないものだ」といっている。
「罪が重過ぎる。政治の裁判への干渉を匂わせる」とパトリック・アラピアン弁護士はいう。
ミッシェル・コニズ弁護士も 「自分は無罪放免の判決を待っていた。これは、なにも証拠物件の無い空の起訴で起きた失敗(裁判)である」としている。最終結審の段階で証人は現れなかった証言の「信頼性」を問題にした。
今後この裁判の判決をめぐり上訴も予測されるが、フランス政府や警察の郊外青年暴動への態度が鮮明化されたものとの見方もできそうで、移民の取り扱い方との関連でさらに論議が高まりそうだ。
(参考記事)
【ラジオFrance Info】
(ヌーベル オブセルバトワー誌)
【Le Post】