2014年12月20日土曜日

欧州人権裁判所が「軍隊に組合結成」要請 オランド仏大統領は「市民と同じ」アソシエーション権を発表

長期にわたった欧州人権裁判所(CEDH)の圧力の下で、フランソワ・オランド仏大統領は19日に市民と同じく軍隊内部に組合やアソシエーションを結成する権利を認める法案を発表した。オランドは、排斥者復権抗議の権利や、スト権などを排除した上で、職業間アソシエーション法を軍隊に適応する方向で法案の具体化を早める予定だ。ルモンド紙などはCEDHが、軍隊内部に組合を作る方向で動いていることに懐疑を持ちつつも軍隊が現在の状態を保持できないことは確かであるという論調だ。現在の法律では、軍隊の指揮官が従属兵士の総ての権利を掌握するとする条例があるが、これなどは廃止される方向で、総ての階層の兵士の利益と存在の尊厳が保護されるようになると評価している。


軍隊の中にいる兵士が彼らの生活改善の抗議を外部からの操作でおこなうことなどは想像し難いが、兵士が自分たちの不平声明や異議申し立てを公開できるとすることはすでにいくらかは革命的なものだとリベラション紙は見ている。

サルコジ時代のジェラール・ランゲ防衛相は「欧州人権裁判所(CEDH)は完全に馬鹿げている」と断定している。同氏は「軍隊は戦うためにあるので」「権威の系列化と規律が必要だ。共同管理体制などは不可能である」として、軍隊の特殊性に適合した形態のものに組合はすべきだといっている。

軍隊に組合を結成することは、両者が民主主義 の右派と左派のように一致することはないだろうから、軍隊が一番効率のよい経済体制として軍国主義者に利用されることはなくなるだろう。議会と同じように軍隊内部にも組合組織を作ることはよいことだと筆者は考える。

おそらくはこれでは軍隊ではないという批判がおこるだろう。しかし軍隊は人を殺し、同時に自分も人間性を喪失する恐ろしい人権否定の装置なのである。これを否定すれば日本の平和憲法のように軍隊を無くすことになる。フランスが人間尊重の方向で少しでも改良しようとしてきているのは、軍隊は直ぐには無くならないとしても評価すべきことだ。

これまでに、2001年にはフランス国家親衛隊(軍隊)が職業的手当てと集団的服従に抗議して街頭デモを行った。またこれまでに、2人の軍人が軍人の権利擁護協会を組織したが国家審議会から破棄されている。軍人のジャン・ユーグ・マテリー氏はサルコジ大統領時代の2008年に「軍隊と市民」のフォーラムを企画して上官より怒りをかっていた。10月にフランスは、CEDHから「正当な権利を取り上げている」と軍人協会の自由について批判を受けていた。


【参考記事】

La création de syndicats dans les armées n’est pas la solution

Le Monde.fr | 

En savoir plus sur http://www.lemonde.fr/idees/article/2014/12/17/la-creation-de-syndicats-dans-les-armees-n-est-pas-la-solution_4542105_3232.html#0WWRvK67iJk2TMcv.99


http://www.lemonde.fr/idees/article/2014/12/17/la-creation-de-syndicats-dans-les-armees-n-est-pas-la-solution_4542105_3232.html

Un syndicat «light» pour les militaires

THOMAS HOFNUNG
http://www.liberation.fr/politiques/2014/12/19/un-syndicat-light-pour-les-militaires_1167534