2016年5月1日日曜日

メーデー前に仏で「デモ権」論争 バルス仏首相は国家非常事態でも禁止は無いと発言

(パリ=飛田正夫2016/05/01 13:52日本標準時)5月1日のメーデー・デモは国家緊急事態の中で行われるが、労働者の権利であるデモ権は尊重される。しかしサルコジの右派「共和党」(LC)議員のエリック・シオチィ氏は、現在行われている労働者の権利を守るパリの共和国広場の「立て夜」(Nuit debout)運動が、警察と対峙して暴動化している現状をあげ、デモを禁止するように政府に29日に要求した。これに対し、マニュエル・バルス首相は、デモでの暴力行為を厳しく弾劾しながらも、「我々のフランス国は(現在)たとえ国家非常事態令が施行されていても、労働者・市民のデモの権利は守られるべきで、デモ権は仏憲法で守られている」と発言し、シオチィ氏の要求をはねつけた。5月1日のメーデーを前に発言した。マニュエル・バルス首相は左派の策略に乗ろうとはしない。もし政府がデモ権の禁止を認めれば、現在非常事態令が適応されているフランスは言論や表現の自由を圧制する暴力国家だとの烙印が待っているからである。

パリの共和国広場抗議を中心としたデモはエル・コムリー(El Khomri)労働大臣の提案した新法が労働条件を改悪するものだとして左派系市民によって毎晩抗議集会が続いて来た。今やパリ郊外都市やフランスの地方大都市のレンヌやマルセイユ、ナント、リヨンなどでも警察隊とカッスーと呼ばれる「壊し屋」とが対峙して、車が焼かれ商店のガラスが割られている。昨日の衝突では、警察側では24人が負傷し頭蓋に衝撃を受けた者もいる。レンヌでは警察が撃つピストルに次ぐ威力のあるフラッシュ・ボールが目に当たっている。多くの負傷者が出て病院に運ばれた。仏全国では124人が逮捕者された。しかしこの法案に関して詳しく理解している人は少なく、フランスが危険な社会的暴動化への広がりを見せていることで心配されている。フラッシュ・ボールの警察の使用はサルコジ政権下で多く使用され片目を失った青年や高校生もいたのだが、不思議なことに警察組合ではこのピストルの一つ前の凶器であるフラッシュ・ボールや、また催涙弾の使用は「壊し屋」には不適当だと話した。

マニュエル・バルス首相は少数の「壊し屋」の扇動行為を裁判所で裁くとし警察側を支持するとともに、デモの組織者である労働組合などは今のところ、デモに関する規則を十分に厳守してない。デモはその枠内で監視され統制されるべきことは明白だ、と声を高めている。

【参考記事】
http://www.francesoir.fr/politique-france/loi-travail-accuse-de-mansuetude-le-gouvernement-hausse-le-ton-face-aux-violences
http://www.20minutes.fr/politique/1836659-20160429-manif-contre-loi-travail-pourquoi-telles-violences
http://www.leparisien.fr/faits-divers/nuit-debout-eric-ciotti-reclame-l-interdiction-des-manifestations-29-04-2016-5753859.php