2016年5月7日土曜日

全欧州が危険視 オーストリアで極右派系の大統領誕生も確実に

(パリ=飛田正夫2016/05/07 0:58日本標準時)オーストリア大統領選挙の第1次投票でトップになった極右派系の自由党(FPÖ)のノベール・フォフェー( Norbert Hofer)氏が5月22日に予定された決選投票で勝利すればヨーロッパに極右派の大統領が誕生することになり、歴史的大転換を危険視し心配されている。フォフェー氏は5日に穏健派市民に対し、欧州共同体離脱は無いとし難民受け入れも可能な限り努力すると話した。これまでの同党が打ち鳴らしてきた人種差別の主張は柔らかく変更されている。またヨーロッパの難民危機に好意的な態度を示して、オーストリア通信(APA)のインタビューに答えている。4月24日の第1回投票で35%を獲得したフォフェー氏は、対抗候補エコロジストのアレクサンダー・ヴォン・ディァ・ベレン(Alexander Van der Bellen)氏の獲得した投票率21,3%に対して大きく溝を空けて引き離している。世論調査によると二人の当選確率は半々であるが、5%ほどフォフェー氏が優勢だとみている。


昨年は、オーストリアでは9万人に難民受け入れ申請がなされていて、これは人口の1%に当たる。しかしながらもし今後更に9万人を受け入れ、また9万人を受け入れていくことは困難で、シュンゲン協定に戻って入国した最初の国で難民審査を受けるべきであると話し、党の極右派的性格を引っ込めた。

オーストリア内部の様子が外からは余りわからないとしてルモンド紙ではフランス国立科学研究センター(CNRS)のパトリック・モロー(Patrick Moreau)氏にコメントしてもらっている。それによると、オーストリアの憲法はワイマール共和国のそれと非常に似ているのだという。大統領の権力は大きく、もしもノベール・フォフェー氏が5月22日に当選したのなら、彼はなんでもできるので、現在の極右派の自由党(FPÖ)の党首であるハインツ・-クリスチャン・シュトラシェ(Heinz-Christian Strache)を首相に任命する。

エコロジストの票の動きが読めないところがあり、オーストリアも難民の受け入れを嫌う右派に有利にメディの関心も集中して向けられているとルモンド紙はいっている。仏経済紙のエクスプレス紙はフォフェー氏が商業と投資に関する米国とヨーロッパとの間での自由交易条約TTP(TTIP)には反対していると報じた。

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(パリ=飛田正夫5/24/2016 12:09:01パリ時間)数分前に、フランス時間16時55分オーストリア内相は大統領選挙の最終結果を発表した。



【参考記事】
http://www.lemonde.fr/europe/article/2016/05/04/en-autriche-la-presidence-offrirait-a-l-extreme-droite-toutes-les-manettes-du-pouvoir_4913187_3214.html

http://www.leparisien.fr/flash-actualite-monde/autriche-le-candidat-d-extreme-droite-veut-rassurer-l-electorat-modere-05-05-2016-5770053.php
http://www.lemonde.fr/europe/article/2016/05/04/en-autriche-la-presidence-offrirait-a-l-extreme-droite-toutes-les-manettes-du-pouvoir_4913187_3214.html
http://www.liberation.fr/desintox/2016/05/04/famille-afghane-en-autriche-des-aides-normales_1450479
http://www.lexpress.fr/actualites/1/monde/autriche-le-candidat-d-extreme-droite-veut-rassurer-l-electorat-modere_1789410.html