2017年10月26日木曜日

ロシア革命100周年 仏国に難民として暮らす白系ロシア人の苦渋の回顧

(パリ=飛田正夫)ロシア革命100周年を迎えてその評価は大きく変化している。レーニンの赤の広場の霊廟も一般の人と同じ様に埋められるべきだとの指摘が掲載されている。テレビFRANCE24が実業家でロシアで12年前から仕事をしているジョルジュ・オソルギイン(Georges Ossorguine)53歳を主人公にしてロシア革命を100年後の現代から個人史を通して紹介している。ここでは現代ロシアの革命に対する学生たちの評価も取材されている。オソルギインは、1917年のロシア革命の後にフランス・パリ西南近郊のクラマーの町に難民として住んだ白系ロシア人の家庭に育った人だ。1917年のロシア革命では新たな民衆の敵が指摘され学者やブルジョワ、知識人、聖職者、農民などが難民としてロシアを離れまた労役を課された。そのためにロシアを離れた人は250万ほどもいたとされている。ロシア革命100周年記念委員で副文化大臣のヴィアディミール・アリスタコヴはプーチン大統領の言葉を出すまでもないとして、この記念すべき時は我々の過去の犯罪を探す機会ではないとして謝罪を拒絶している。ソ連の凋落後ロシアは革命の犠牲者に対し正式に謝罪は一切していないとFRANCE24は言っている。(日本時間 ‎26/‎10/‎2017;08:32:)(仏時間‎26/‎10/‎2017 ;01:32)

FRANCE24の映像では06:38当たりから彼が写っている。その家の壁には皇帝の家族と共に撮影された彼の子供達の写真が飾ってある。家屋はロシア風の瀟洒なもので、そこにはロシアの作品だけでなく、有名な画家やグラフィストの作品が蒐集がされている。ジョルジュ・オソルギインは祖父の名前ジョルジュをそのまま譲り受けた人だ。祖父は皇帝軍の手榴弾師団の隊長で、秘密警察に逮捕されて1921年のレーニン時代に開設された白海沿岸のロシア初のソロヴェツキー強制収容所に約10年間監禁されてそこで銃殺されている。その2年後にジョルジュの祖母アレキサンドルはフランスに逃れた。この女性が牢獄から送られた夫の手紙を総て保存していた。


ジョルジュ・オソルギインの場合はそのロシア難民の第一波であった。第ニ波は第二次世界大戦中に、そして第三波は70年代にあった。彼等の家族の多くはフランスに集合したが、また満州やアルゼンチンにもいて革命前の伝統的なロシア皇帝時代の雰囲気の中でロシア語を話しロシア料理を食べて生活しているとリベラション紙では書いている。

家庭では1917年の事件を話すことはタブーとされて誰もそれを話さない。祖父たちの遭遇した精神的苦渋を家族に強いることを避ける為に我々を守ったのだとジョルジュは言っている。彼等の住むクラマー市のロシア正教教区ではロシアの文化的かつ存在的伝承の中心としてロシア語の授業を週に一回水曜日に組織している。ここの学校で使用する歴史の教科書は1916年で総てが終わっていてその後はロシアではなくなっているのだという。

ジョルジュによると「その後はひどく闇に隠れた不透明で険悪なボリシェヴィキのコミニュストなってしまった」とロシアの共産主義への流れを回顧している。しかしジョルジュは過去の苦渋のノスタルジーの中に沈潜することも、現代ロシアに住むこともまた拒絶する。彼は毎年パークの季節になるとクラマーに返って来る。
彼はもはや許すべきものは何もないと考えているようだ。どんな要請があろうとロシアには自分は戻らないない。しかし逆に家族によって伝えられたもの、それを発展させていきたいと彼は考えている。革命が引き起こした圧政と革命の記憶に刻印された現ロシアの体制への明白な批判は強く拒絶しながらも、二つの文化を享受できたことは幸せだと語っている。ジョルジュ・オソルギインがギターを弾きながら歌う歌は(FRANCE24.映像の08:50から)淋しいがいい歌だ。拙訳を残すと、私の持つ火が霧の中で光る 死のための火花が飛び散る  今夜は誰一人として出会うことは無い 私達は橋の上でサヨナラを言う
 今夜は誰一人として出会うことは無い 

【参考記事】
下のFRANCE24.の映像06:38当たりから彼の姿が写っている。
http://www.france24.com/fr/20171011-video-reporters-russie-fantomes-1917-revolution-russe-poutine

http://www.france24.com/fr/20171011-video-reporters-russie-fantomes-1917-revolution-russe-poutine

http://www.liberation.fr/planete/2017/10/20/georges-ossorguine-fils-de-russes-blancs-un-traumatisme-enfoui-dans-les-souvenirs-de-nos-grands-pare_1604583
http://www.lefigaro.fr/international/2015/08/11/01003-20150811ARTFIG00214-aux-iles-solovki-les-pelerins-russes-grignotent-la-memoire-du-goulag.php
https://www.google.fr/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=11&ved=0ahUKEwic5v_i3ovXAhWKcBoKHQNFCOEQFghXMAo&url=http%3A%2F%2Fwww.egliserusse.eu%2Fblogdiscussion%2FTelevision-France-2-XII-Congres-de-la-jeunesse-EORHF-a-Paris_a1821.html%3Fstart%3D420&usg=AOvVaw2DA5EP93XX0GFSmXhwugn