チュニジアやリビアからの移民がイタリアを経由してフランスやヨーロッパへ移動することにフランス政府は反対している。できればヨーロッパ合意のシェンゲン協定を一時的に停止させて移民の流入を避けたいと考えている。2010年夏以後のロマ人排斥でヨーロッパから批判されたフランスは、今後は「アラブ諸国の春」の先頭を切ったチュニジア移民排斥で再度ヨーロッパからの批判を受けそうである。
フランス政府はイタリアからフランスへ陸路で入ってくる鉄道を4月17日に南仏のマントンの手前のイタリア側の町バンチミルでチュニジア人60人ほどが人権擁護団体のメンバーと一緒に乗る列車を止めた。
仏政府の移民排除を不適切な対応だとして仏社会党(PS)は批判している。元首相のエデット・クレッソンさんは「まったくフランスのイメージを損なうものだ」と国営ラジオで発言した。
仏政府の移民排除を不適切な対応だとして仏社会党(PS)は批判している。元首相のエデット・クレッソンさんは「まったくフランスのイメージを損なうものだ」と国営ラジオで発言した。
シェンゲンは1985年6月14日独仏国境のシェンゲン調印の欧州加盟国域内での人と物の自由な移動を認めた欧州の基本思想の柱の一つとなっている協定。
イタリアのベルルスコーニ首相 はチュニジア人2万人に6ヶ月のヨーロッパ回遊のビザ(パスポート)を発行したことでチュニジア人が家族や親戚を頼ってフランスにも押しかけている。
イタリアのベルルスコーニ首相 はチュニジア人2万人に6ヶ月のヨーロッパ回遊のビザ(パスポート)を発行したことでチュニジア人が家族や親戚を頼ってフランスにも押しかけている。
シェンゲン協定では移民の第一番目の受入国によって移民が管理されることになっているために、イタリアが欧州パスポートを出すことは合法的だ。しかし第二国目へ出国するのに十分な所持金が要求される。この点からフランス政府はお金を持たない移民をイタリアへ連れ戻すとクロード・ゲアン内務大臣(前大統領官邸書記総監)などはいっていた。
フランス政府がこのヨーロッパの人権的価値を否定してまでも移民対策に躍起になるのは、移民排除をどんなにしても外国人嫌いのフランス国民の右派系支持層にはそれで批判されないからである。
フランスが移民を大量に受け入れてしまうと2012年の大統領選挙でサルコジ大統領は全く勝ち目がないと、フランス人の好みを見ての移民対策であるわけだ。
マグレブからの移民はアラブ人であってこれを受け入れないフランスの政治的体質は、チュニジアだけでなくエジプトやリビアに対する政治姿勢としても同じことがいえそうだ。
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Apr 17, 2011
(参考記事)
Immigration : la France envisage de suspendre les accords de Schengen ! - MidiLibre.fr