北大西洋条約軍事機構(NATO)の会議はドーハ (カタール) の13日に引き続き14日にはベルリンで開催された。英仏デンマークの希求する軍事介入増強の統一交渉の音頭が取れなかった。政治的な交渉は基本的に一致だが攻撃参加にはNATO28カ国の6カ国(英・仏・ベルギー・デンマーク・ノルウェー・カナダ)しか参加希望がなかった。カダフィ襲撃を強化したいサルコジ大統領とキャメロン英首相とは次第に孤立化している。
NATO事務総長のNATO事務総長のアナス・フォー・ラスムセン氏はリビア蜂起の「反リビア政府臨時国家審議会」側への物資支援とカダフィの排斥を求める政策転換の方向を語って今後のNATO軍の展開ではリビア市民の安全を防衛することは変わらないと強調した。
リビア戦闘の指揮系統は戦闘的な英仏に代わり3月31日からはNATOの指導体制になっていた。ヒラリー・クリントン米国務長官は米国はたとえ空軍強化をしなくても最後までNATOの作戦を支援するだろうと発言している。
数日前からNATO軍は有能でないと批判していたアラン・ジュッペ外相は14日ベルリンに到着すると「問題の軍事的な解決は無いだろうが、政治的解決だけがあると思われる」と発言。リビア派兵に当初から反対していたドイツの立場に準拠する発言をしたことで、フランスの政治的方向転換を証言した。しかし一方では武器の提供支援は理解できないと宣言してみせていて今後に再度の意見変更もありえると見られている。
ジュッペ仏外相はヒラリー・クリントン米国務長官と共にベルリン会議の合間に記者会見して「米国は4月4日に50機ほどの対地上戦略戦闘機の参加を見合わせたが、同じ戦線に参加するなら米国は局部的にでも同戦闘機を参加させるべきである」とリビア攻撃を諦めない発言を固執している。すでにオバマ大統領とサルコジ大統領とのビデオ会議でこの話し合いはなされていた。英仏軍側には米国のような優れた対地上戦略戦闘機(A-10 、AC-130)が無いことで米大統領に意見を変えて同機の参戦を要望していたがオバマ大統領はこれを断っていた。オバマ大統領は市民を保護する国連決議1973の目的から逸脱する爆撃というのを回避したがっていたようだ。
リビアの市民を保護するためにあらゆることをしたとNATOは宣言している。「ルモンド紙fr.」は14日には戦闘機が首都トリポリの上空を飛び爆撃しそれに応戦する高射砲が撃たれていると報道した。リビアのテレビ局は軍の映像を引いてトリポリ、アジジエ、キクラが植民地主義者の十字軍遠征の凶暴な戦闘を受けたとフランス通信(AFP)のジャーナリストもカダフィ邸宅近くへの爆撃音を聞いているといっている。
同日、トリポリの西120キロのミスラタの港湾と近くの住宅街に向けてカダフィ軍は200個ほどのミサイルで攻撃を加え23人が死亡した。同テレビはカダフィ大佐が天上の開く車に乗って市内を走り巡っていてNATOの戦闘機から爆撃がなされている映像が放映された。これは14日夜のフランス国営放送・テレビA2でも写されている。
リビアへの軍事介入をサルコジ大統領と2人で相談したといわれる哲学者のベルナール・アンリ・レヴィ氏がリビアから帰国し14日夜のフランス国営放送・テレビA2に出演して状況を説明した。フランスの政治風刺と暴露の専門新聞カナール・アンシュネからはにわか作りのイスラム専門家と呼ばれている人物である。
どうなのか?との質問に、同氏はベンガジなどの蜂起側では食料や医療が不足しているが市民は決意が強くしっかりしていると説明した。泥沼化していたことはあったが、これは間違いで、今は間違った用語になったと思うと話した。リビア人がリビアを解放する自由兵を組織すべきだ。ベンガジはリビアの自由のために兵を組織しなければならない。連合軍側には一つの解決しかなく、今は他の軍事的手段は不可能になったと語っている。
どんなプランがあるのか?との質問には、サルコジ大統領に聞いてくれとしながらも、他はできなくなったので英仏が唯一できるのはカダフィを追い出すことだけであると答えている。