2011年3月20日日曜日

リビアのカダフィ空爆で戦争開戦 仏・英主導の戦闘体制で 米は陸地戦は拒否

3月19日15時30分、サルコジ仏大統領によってリビアのカダフィ大佐を空爆する戦争が開始された。リビア軍隊の戦車への攻撃が始まった。フランスのラファール戦闘機2機とミラージュ戦闘機2機、哨戒機アワクが同日11時ごろに飛び立っている。地中海のツーロン軍港からは空母シャルル・ドゴールが20日夜に20機ほどの戦闘機を搭載し対潜護衛艦(フリゲート艦)や潜水艦を従えてリビア沖に向かう。この戦争にはアフリカ諸国連合(UA)はこぞって当初から反対している。ドイツのメルケル首相やロシアは軍隊参戦を拒否した。オバマ米大統領は「制限軍事行動」を主張し米は陸地戦を展開しないことを強調し、陣頭指揮をとっていない。仏・英主導の戦闘体制でカナダなどが支持しスペイン・イタリアが基地を提供する構えである。

即刻、リビアのカダフィ大佐は国連安保理の緊急総会開催を要求した。リビア側には外国では最大数の14機のフランス製ラファール戦闘機や戦車が所持されている。

19日午後のエリゼ大統領官邸でのサルコジ発言では、「空爆」の大義名分は18日に国連安全保障理事会で採決された1973年決議案によっている。

このサルコジ大統領の発言直後に記者会見した緑の党のノエル・マメール、ベーグル市長(エイコジスト)は「空爆の戦争が拡大することを心配する」と悲痛な発言をしていた。

18日の国連安保理でのカダフィ空爆の決議投票前に、カダフィは停戦を宣言してみせたが、蜂起側ベンガジへの襲撃は続いていると伝えられていた。またフランスが世界で初めて支持を表明したベンガジ反リビア政府臨時国家審議会側では、リビア軍の飛行機の撃墜を発表していた。これは両陣営での戦闘が18日も続いていたことを意味する。しかしこれらを確認する情報がないと「ルモンド紙fr.」はいっていた。

サルコジ大統領主導のリビアのカダフィ大佐への空爆に関し意見を求められたベンガジの人々は「遅すぎた。もう一日早く決定すべきであった」といって悔やんでいる声が「ラジオFrance Info」では18日から伝えられている。

しかし国連安全保障理事会の決議発表直後ではベンガジの反リビア支持派の民衆の声だとして「ありがとう、サルコジ大統領」という感謝の声がメディアで伝えられたが、すぐに19日のラジオでは保守派よりのフィガロ紙の特派員の現地報道で「ベンガジの民衆がフランス軍の出動の遅れたことを残念がって、(爆撃を)怖がっている」と伝えた。状況は急激に変化している。

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リビア空爆は国連安保理「決議枠逸脱」怖れ NATO指揮下へ 中国・ロシアは欧米を批判

国連安全保障理事会の1973年決議によってリビア空爆の軍事的行使制限に即して欧米連合軍がカダフィ側への空爆を展開しているとして、国連の潘基文事務総長はロシアに連合軍支持の勧めをしたが、いまだにメドベージェフ大統領は、中国の立場と同じく、リビアの市民が連合軍の無差別空爆で犠牲になっていることを嘆いて拒絶している。カダフィ軍隊と蜂起側の反リビア政府臨時国家審議会側とが重なりあって判別が困難になっているという。空爆は市民を保護する国連決議に抵触する恐れがでてきているという。

北大西洋条約軍事機構(NATO)では28カ国のメンバーによりカダフィへの武器輸出禁止の新たな作戦展開を決めると発表した。過激になって度を越してきたリビア戦争を提案し開始させたのはサルコジ大統領だが、フランスはNATO決議で攻撃に限界が出てくることを予想している。が、戦争の主導責任がNATOへ移ることを22日に譲歩したと「リベラシオン紙fr.」は伝えている。

カナダ軍は22日、飛行場施設への爆撃を諦めたと伝えた。理由は市民への爆撃の恐れがあるからだという。

23日、欧米連合国側のリビアのカダフィ大佐への攻撃は4日目を向かえた。20日、連合軍側がミサイル攻撃をしたトリポリのバブ・エル・アジジヤの私邸から、22日にカダフィは公衆の面前に姿をだしたとリビア国営テレビは報道している。

リビア政府側からは、連合軍は19日からの空爆でトリポリ、ゾォアラ、ミスラタ、シィルタなどで市民に数多く犠牲がでたといっている。また21日は連合軍は南部のカダフィの勢力圏であるセバハを襲撃したと伝えられた。しかしロクレアー司令官は国連決議1973を遵守しないで砲撃しているのはカダフィ軍側だとしている。同司令官はカダフィ軍は西部のザウィア、東部のミスラッタやアジダビヤから撤退すべきだといっている。