2011年3月19日土曜日

【コラム】  リビアの独裁者カダフィは民主的法で裁かれるべきだが、空爆で抹殺すべき正当性はない

3月19日、リビアのムアマル・カダフィ大佐空爆のことでパリの大統領官邸エリゼ宮殿で談義が行われているが、15時30分にサルコジ大統領が何か話すと昼のテレビで伝えた。ドイツとロシアは戦争の拡大を予想して危険なリビアへの制裁攻撃に軍隊を送らない方針をすでに宣言している。サルコジ大統領が何故カダフィを空爆したいのかはよくわからないが、アラン・ジュッペ外相(前防衛相)のONU国連での先日の発言からだと国際司法裁判所で裁くのでは不十分で、その前に空爆するという。

「アラブ諸国の春」でチュニジアのジン・アビディン・ベンアリ大統領やエジプトのムハンマド・ホスニ・ムバラク大統領も独裁者であったが、サルコジ大統領はこれを空爆することはなかったし追い出すこともしなかった。

どうして同じ独裁者でこれまで仲良くやってきた仲なのに、急に手を翻したようにカダフィを空爆することにしたのか明確な説明がないようだ。

カダフィがリビアの市民を大量殺害したという容疑があるがこの証明を明かす必要がある。空爆する前に裁判できちっと裁くのが民主主義の道理であると考える。もしそれが緊急でできないという理由ならそれは正当な理由にはならないだろう。たとえ独裁者でも殺害という手段は後に怨念を残すと考えられる。

そのことで世界戦争へと過熱化し発展する可能性は十分にありうることだし、良い方法ではないと考えられる。サルコジ大統領の主張する空爆という手段を取ることには、どこにも民主主義社会の正当性が存在してないように思える。


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リビア空爆は国連安保理「決議枠逸脱」怖れ NATO指揮下へ

中国・ロシアは欧米を批判

国連安全保障理事会の決議1973によってリビア空爆の軍事的行使制限に即して欧米連合軍がカダフィ側への空爆を展開しているとして、国連の潘基文事務総長はロシアに連合軍支持の勧めをしたが、いまもなおメドベージェフ大統領は、中国の立場と同じく、リビアの市民が連合軍の無差別空爆で犠牲になっていることを嘆いて拒絶している。カダフィ軍と蜂起側の反リビア政府臨時国家審議会側とが重なりあっていて両者の判別が困難になっているために、空爆は市民を保護する国連決議に抵触する恐れがでてきていて、戦争責任の支点を移動させようとする仏米の政治的な判断が臭う。

北大西洋条約軍事機構(NATO)では28カ国のメンバーによりカダフィへの武器輸出禁止の新たな作戦展開を決めると発表した。過激になって度を越してきたリビア戦争を提案し開始させたのはサルコジ大統領だが、フランスはNATO決議で攻撃に限界が出てくることを予想している。が、戦争の主導責任がNATOへ移ることを22日に譲歩したと「リベラシオン紙fr.」は伝えている。

カナダ軍は22日、飛行場施設への爆撃を諦めたと伝えた。理由は市民への爆撃の恐れがあるからだという。

23日、欧米連合国側のリビアのカダフィ大佐への攻撃は4日目を向かえた。20日、連合軍側がミサイル攻撃をしたトリポリのバブ・エル・アジジヤの私邸から、22日にカダフィ大佐は公衆の前に姿をだしたとリビア国営テレビは報道している。

リビア政府側からは、連合軍は19日からの空爆でトリポリ、ゾォアラ、ミスラタ、シィルタなどで市民に数多くの犠牲をだしたといっている。また21日は連合軍は南部のカダフィの勢力圏にあるセバハを襲撃したと伝えられた。しかしロクレアー司令官は国連決議1973を遵守しないで砲撃しているのはカダフィ軍側だとしている。同司令官はカダフィ軍は西部のザウィア、東部のミスラッタやアジダビヤから撤退すべきだといっている。国連決議1973では攻撃の時空間や対象の限定が定められている。