2011年3月19日土曜日

【コラム】  フランス帰国学生が語る福島原発事故体験、「日本は静かで、西欧はカタストローフ(破滅)」なのか?

福島地震と津波による原発事故で日本からフランスに帰国した学生たちを取材した3月19日の「ルモンド紙fr.」にはたいへん興味深い記事が掲載された。避難のためにフランス本国に帰国した学生たちは日本という国の不思議さを一様に語っている。自分たちのフランスとは文化的感受性が全く異なっているとの認識を強めたという。


日本とフランスとの大きな文化的差異を知らされた。一つは日本のメディアや政府では最悪はまだ不確実なところにあると思いつづけたことで、まるで危機から逃れ出た人のように静かであった。ところが自分らの両親はすでに日本は地図から消えていたように考えていたと16日にパリに帰ってきたリヨンの19才の学生ダミアン・リエビさんは語っている。同氏は地震の再来が明らかな中で東京の人は静かであってその威厳ある態度に心を打たれたと話している。

仙台から帰国した26歳のレンヌの学生ダビッド・ビアンさんは情報の取り扱い方に日本とフランスとで信じられないほど大きな違いがあるというのである。フランスでは絶対的に傾聴する支持者を求めて多少潤色があるのを覚悟でなされる。ところが日本ではすべてが肯定化されるのだと断言している。

日本は静かで、西欧はカタストローフ(破滅)なのか?フローリアン・ボーダンさんはフランスに帰ってきてテレビを見るとストレスに襲われて気がめいってしまった。自分を安心させてくれたのはメデアではなく、日本の友人であったと言っている。

私の感じでは、フランスのテレビは政策的な情報操作のところが強すぎるようだ。TF1を除けばフランス国営放送テレビも「ラジオFrance Info」なども国営が幅を利かせているのでその傾向が強いということなのかもしれない。それらのメデアはサルコジ大統領が局長を任命しているし、民放のTF1も大統領の友人のものだ。メディアは確かに政治的で、つまり選択の決断を強いている。

フランスのテレビのお仕着せ的な情報の加工には外国人が見ていてもうんざりさせられるほどみえみえなところがある。これは日本のようなスタイルのテレビとは確かに違う。

フランス国営放送・テレビA2の有名キャスターのダビッド・プジャダス氏なども、福島地震・津波・原発事件では白黒を決めることばかりその原発事故の当初から急いでいるようで、招待した専門家に性急に意見を求めていた。しかも、ボーダンさんの証言にあった通り、「カタストローフ」の方にであったと感じられる。

二元論のヨーロッパと有無の二元論を超えた空概念をもつ日本の自然観の違いだとしても、あまりにも考えなければならないところは大きい。