2011年3月22日火曜日

リビア空爆の国連安保理決議「実行」で 欧州議会(EU)は分裂 ベルギーのメディアが報道 

3月21日の欧州議会(EU)ではリビアへの空爆実行で仏・英・米の爆撃が決められた範囲を超えていたとするもので市民の安全が脅かされていることを論議して、二つに分裂したと伝えられた。ドイツはリビア戦争には一切介入しないと強く反対している。イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相 も参加には慎重を要するとしている。しかしアラン・ジュッペ仏外相は人々を救うために必要だと主張を変えない。サルコジ仏大統領は再度の国連安全保障理事会の開催を求めていて、そこでのさらなるリビア空爆決定がなされることを強調しているという。21日ベルギー議会ではリビア戦争への参加が決まった。21日のベルギーメディアはフランスでは少ないEU情報を流した。

3月21日の「ラジオFrance Info」では、リビア空爆のための国際社会の合意という正当性を確保しようとしたサルコジ大統領主導の国連安全保障理事会で決議投票され空爆の行為をアラブ連盟のアミール・ムーサ議長は厳しく批判し、この爆撃のエスカレートに歯止めをかけやめさせようとする声がたかまっているといっている。

3月17日の国連安保理での決議の後、19日11時にはラファール戦闘機2機とミラージュ戦闘機が直ちに飛び立ってサルコジ大統領は同日15時30分ごろにを大統領官邸エリゼ宮殿で開戦を宣言して初のリビア空襲が始まった。



国連安全保障理事会の決議1973によってリビア空爆の軍事的行使制限に即して欧米連合軍がカダフィ側への空爆を展開しているとして、国連の潘基文事務総長はロシアに連合軍支持の勧めをしたが、いまもなおメドベージェフ大統領は、中国の立場と同じく、リビアの市民が連合軍の無差別空爆で犠牲になっていることを嘆いて拒絶している。カダフィ軍と蜂起側の反リビア政府臨時国家審議会側とが重なりあっていて両者の判別が困難になっているために、空爆は市民を保護する国連決議に抵触する恐れがでてきていて、戦争責任の支点を移動させようとする仏米の政治的な判断が臭う。

北大西洋条約軍事機構(NATO)では28カ国のメンバーによりカダフィへの武器輸出禁止の新たな作戦展開を決めると発表した。過激になって度を越してきたリビア戦争を提案し開始させたのはサルコジ大統領だが、フランスはNATO決議で攻撃に限界が出てくることを予想している。が、戦争の主導責任がNATOへ移ることを22日に譲歩したと「リベラシオン紙fr.」は伝えている。

カナダ軍は22日、飛行場施設への爆撃を諦めたと伝えた。理由は市民への爆撃の恐れがあるからだという。

23日、欧米連合国側のリビアのカダフィ大佐への攻撃は4日目を向かえた。20日、連合軍側がミサイル攻撃をしたトリポリのバブ・エル・アジジヤの私邸から、22日にカダフィ大佐は公衆の前に姿をだしたとリビア国営テレビは報道している。

リビア政府側からは、連合軍は19日からの空爆でトリポリ、ゾォアラ、ミスラタ、シィルタなどで市民に数多くの犠牲をだしたといっている。また21日は連合軍は南部のカダフィの勢力圏にあるセバハを襲撃したと伝えられた。しかしロクレアー司令官は国連決議1973を遵守しないで砲撃しているのはカダフィ軍側だとしている。同司令官はカダフィ軍は西部のザウィア、東部のミスラッタやアジダビヤから撤退すべきだといっている。国連決議1973では攻撃の時空間や対象の限定が定められている。