【コラム】 ビンラディン殺害の帰結は 魂の救済無く 欧米にテロの恐怖が倍増

オバマ米大統領によって５月１日夜、ウサマ・ビンラディンが米の秘密特殊部隊に殺害されたと発表されたことで、多くの人々が喜んでいる。しかしこれでテロの恐怖が終焉したわけでははない。それどころかアルカイダの報復テロが欧米の各地で心配されている。

テロの恐怖はこれで更に倍増されて恐怖が掻き立てられることになりそうだ。人々の心の中に安寧と静謐が逆に遠のいていく原因になりそうだ。

暴力的な殺害的手段による裁きではどんな悪党でも浮かばれない。それどころか殺害を企てた側が大統領であろうとどんな正当性を持っていようと殺したことでさらにそれで苦しむことになる。人間を殺すということの本質的な問題を軍隊や国際社会の権力は解決していないからだ。

たしかにビンラディンはテロリストの首領かもしれない。多くの無実の市民をテロ殺害したといわれる。問題は米国のやり方である。民主主義の世界では少なくともどんな人間でも法の裁きを受けてから罰すべきである。

人倫の法にも国の法にも違背した殺害は多くの怨念を生むことが心配される。これはウサマ・ビンラディンの家族なども一緒に殺害されていることを付け加えるだけでわかることだ。

北大西洋条約軍事機構（ＮＡＴＯ）の軍隊はカダフィ大佐の息子とその子供達をも無差別空爆をして殺害したばかりだ。子供や市民の死は軍隊が個人を狙ったものではなかったからだと返答しているが、これも人間の生命の重さを忘れている結果だといえる。ＮＡＴＯや欧米社会の軍事的解決という思想がある限り人と人との憎悪を煽っていくことになり治まることがない。

ビンラディン殺害のやり方が結果的に平和を築けないのである。魂の救済が無いのはビンラディンだけではない。欧米側の殺害を喜ぶ側の人相が人の魂が醜くなってゆくのだ。怒りの心が支配的な指導者がいるからでその世界ではテロの恐怖が倍増するのは確かなことだ。