2012年4月19日木曜日

ツイッターやフェイスブックが押し流す民主主義、仏大統領選挙の「接戦状況」は世論調査の準備したものか?

左派系新聞リベラション紙は4月22日の仏大統領選挙投票の結果予想の報道を18時30分から開始する権利を主張している。18日にデモラン編集長は「もし、(結果に)ずれがあったとしても情報源は信頼でき明快だ」と話している。投票所が最初に閉まるのは過疎部での18時で、その後に予想や総ての出口調査をまとめるが、大都市では20時に最後の投票所が閉まるがその前にメディアでの推定発表の情報を出すことはフランスの法律では禁止されている。これは民主主義にとって重大な問題を提起しているとトリビューン・ド・ジュネーブ紙などでも抗議している。20時以前にはすでにメディアや政治家やその周辺の人々には結果がわかっているからであるとリベラションのデモラン編集長は訴えている。この2時間の間にメディアを停止させて民主主義を押し流すツイッターやフェイスブックの勢力が準備されているかもしれないということなのか?
ベルギーやスイスの新聞ではこの10年来毎回16時ごろに仏大統領選挙の投票予測をだしてきている。今回もそれは変わらないという。しかも確実な情報源からなされているといっている。

現在の問題はツイッターやフェイスブックから流れた16時の時点での予想情報が20時までに投票する有権者を左右することで、これは止められない流れだという。一方で、仏政府が20時前の投票結果予測のメディア報道を禁止してもツイッターやフェイスブックからは情報が流れ出ているわけだから、むしろ知る権利ということでいえば平等で民主主義的でさえあるともいえる。

しかしそれ以上に問題なのは、すでに多くの世論調査会社がこれまでに何度も出している各社様様な世論調査の結果である。この予想によって有権者の意見は十分に動かされ操作されてきたといえるからだ。

10人の候補者の内でサルコジとオランドが断突で接戦だというのは、このツイッターやフェイスブックに土壇場で流される可能性が強いということである。これは操作の状況を作り出しているということでいえば民主主義の危機でもある。しかし問題なのはそのような接戦状況を準備してきたのは実はこれまでの世論調査にあるのではないかということだ。

15日、トリビューン・ド・ジュネーブの編集長のピエール・ルエチィ氏は、「仏政府はスイスのメディアに圧力をかけようとしていることに驚いている。しかしその脅迫はブログやツイッターの時代には何の意味も持たない」と書いている。

政府は総ての市民に対し20時前の予想報道の発表を禁じていて75000ユーロ(約750万円)の罰金は新聞やインターネットサイトでは5倍になるという。


追記:20日の朝の仏国営ラジオ・フランス・アンフォによると、誰もが同じ時間までに投票を終わらすほうが平等であって、今回の22日の大統領選挙での第1次投票までには無理だが、第2次投票では一律に同じ時間にしたいと国民議会議長のベルナール・アコワイエ氏はいっていることが伝えられたが、対処の仕方としては遅すぎるようだ。

【参考記事】

Dimanche, le tout Twitter sera tout ouïe


Libération veut publier les résultats à 18h30




Menaces françaises contre les médias suisses