しばしばフランスのメディアはドイツが雇用率が高くフランスは失業が増大していることを比較して論じる場合がある。しかしドイツはフランスと異なり最低賃金制度がない為に雇用は膨らむが低賃金で働く人々が生活が苦しいことを見逃している。今回の国勢調査でわかったようにドイツの移民が減少していたのは、移民がドイツの賃金制度に魅力を感じなくなって出て行ってしまったのだろう。
ドイツでは経済的な格差が拡大しているだけでなく社会的な人権の格差も大きい。この点を指摘しないでこれまでの独仏間の失業率を同一価値観の物差しの上で比較してきた仏メディアの責任は大きい。
フランスには人権を守る最低賃金制度があり、ドイツのようにこれをなくしてしまえば失業は減るだけでなく労働者の権利が縮小化するだろう。しかしフランスはそれをしない。失業率の増大を理由に労働賃金の自由市場化を期待する声も高まってきそうだが、今の政府はこれに反対するだろう。