2014年1月31日金曜日

女性人権大臣のいるフランスを舞台に アングレーム国際漫画祭で日本軍の「韓国慰安婦」の絵が論議


A Angoulême, à l'exposition sur les femmes de réconfort lors de la première journée du festival de BD le 30 janvier 2013. (AFP / NICOLAS TUCAT)
フランスのアングレームで国際漫画(BD)祭りが開催されている。その中で第二次世界大戦中の日本の天皇制ファシズムの韓国占領時代に日本軍隊の性的満足のために強制動員され「性の奴隷」にされた20万人と推定される韓国の慰安婦女性を描いた韓国グループによる作品が展示室への廊下に飾られた。これが新たな日本と韓国との緊張を生んでいると現地紙の「シャラント・リーブルfr.」(1月27日)や左派系の週刊誌ヌーベル・オブセルバトワールfr.が報道している。フランスは人種差別や性差別など人権違反に反対する国で、女性人権大臣が任命されている。昨年末からホモ結婚法案反対デモ(manif pour tous)を押し切って性を平等にする方向でホモの結婚を憲法で承認する世界で14番目の国になった。反ユダヤ主義のシオニズム(アンチセミセィズム)との闘いも続いている。














女性人権大臣のナジャ・バロー・ベルカセンさんは売春婦をこれまでのサルコジ法とは異なり、市内で許す方向を取りながらも社会復帰ができるように法的救済と経済的援助を宣言している。10年前のサルコジ法によって都市の売春婦は郊外の森の中や人通りの少ない環状線周辺に追いやられて身の安全の保障のない所で働かなければならなくなっていた。このような虐げられた女性を救おうとしている。同大臣は、だからといって私は買春を奨励しているのではないのですと断っている。

韓国の慰安婦問題を過去のものとだけと見ずに現代の我々の時代から新たに認識し正視してゆくことは大事なことだ。フランスはその格好の舞台を提供しているとの見方もある。

「シャラント・リーブルfr.」はこのような外交的な衝突は予想にしていなかったといっている。同新聞社本社に1月27日朝に、12340人の殆ど日本語で書かれた韓国の展示に反対する署名の文書が特別小包で届いた。

同紙によると「慰安婦は否定できないものだ。しかし20万は彼女たちはいなかった。皇軍に強制さえたものではない!」「それは嘘でしかなく、根拠のない話である」と平和と正義のための女性行動の協会「なでしこアクション」の山本代表は抗議しているという。また活動家の意見では「韓国政府はアングレーム祭りを政治と外交の戦場として利用している」と書き、さらに日本に対する「陰謀」だとしている。

韓国の「枯れない華」と韓国政府によって題された展示では、世界からのアングレーム祭りへの参加者に韓国の立場から、この女性達が受けた取り返しのつかない慰安婦問題に関心と理解を持ってもらうことを意図していたという。今年は韓国の展示会場としては市内のサン・マルシャル広場が提案されていたが、日本の非政府団体などがこれに反対していた。

ヌーベル・オブセルバトワールfr.によると韓国のこのテーマは数ヶ月前から知られていたという。日本が騒ぎだしたのは1月29日になってからだという。

オブセルバトワールfr.はさらに日本の事情を話し、1月26日にはNHKの局長が「戦争のあったすべての国では軍隊買春宿の存在はよくあったことだ」「我々はフランスやドイツにそれが無かったかといえるだろうか?ヨーロッパの何処にもあった」と公式宣言したことが今回の事件の裏にコンテクストとしてあると指摘している。しかし直後に「この発言は私的な意見であると同局長は訂正している」という。またその後に公共テレビの責任者が詫びを出したが、この責任者の詫びは不幸にもその時に、今もなお55人生存する韓国人慰安婦の一人が亡くなった知らせがあったという。

アングレームの展示事件があった後に日本の外務大臣は、日本は1993年に公式に犠牲者の受けている苦しみに対し謝罪を提出した。「一方、第二次世界大戦に関する財産や法的要請の賠償は、慰安婦問題をも含めて日本と韓国との間で1965年に調印された合意で完全に最終的に解決していると強調した。さらに日本政府は旧慰安婦の人たちの社会保護と医療手当計画とのための「アジア女性基金」に11220億円を拠出していて、当時の首相が深く謝罪したと、外務大臣がコミュニケを出したとオブセルバトワールfr.は報道している。

昨年2013年12月26日には安倍晋三首相は靖国神社に参拝した。そこは250万人の軍人の死を奉る所で、とくに14人の戦争犯罪者の墓もある。国連で中国の代表は日本が今も戦争犯罪者を英雄のように考えていると嘆いた。それにたいし韓国の代表は、2007年において米国議会と欧州議会とは日本に対し「性的奴隷」のような現在も続いている犠牲者の苦しみに法的かつ歴史的な賠償責任を承認し要求する決議を採決していることを再度掲げて見せた。

昨年春には、大阪市長が日本の占領した国でそのような女性の雇用は必要だったと形容しているという。2012年に安倍首相は買春を強制された女性の確実な証拠はないと宣言していることなどをオブセルバトワールfr.は上げ、日本の高官の与える印象には日本が本当に過去の行動に後悔の念をもっているのかと疑問が残ると書いている。

韓国のグループの偏向した作品が展示されたとして、これにより日本との関係がより複雑化することを危惧し、韓国がどうして今になってこの問題を持ち出すのか理解がいかないという意見もある。

【参考記事】
http://tempsreel.nouvelobs.com/societe/20140130.OBS4493/angouleme-l-expo-qui-fache-le-japon.html
Angoulême : l'expo qui fâche le Japon
Publié le 30-01-2014 à 20h52

http://www.charentelibre.fr/2014/01/27/festival-bd-une-petition-avec-12340-signatures-a-cl,1877107.php
Festival BD: une pétition avec 12340 signatures à CL!
Le 27 janvier à 09h54 par charentelibre.fr