2015年6月4日木曜日

ベルナール・アンリー・レヴィー(BHL)の顔に「ケーキ投げつけ」は 風刺画週刊紙チャルリー・ヘブドを辞めさせられたシネ氏へのオマージュ

フランスの哲学者ベルナール・アンリー・レヴィー(BHL)は、リビアの「反リビア政府臨時国家審議会」(CNT)をサルコジ前大統領と2人して支援して、リビアの独裁者カダフィ空爆を推進した。リビアは政権が倒れ混乱したまま取り締まりのない無法地帯になった。そのためにアフリカからの移民や難民がここに集まり、ヨーロッパに向けて船で地中海をわたる密航者たちの出航地となってしまった。社会・政治の混迷を作ったのはBHLとサルコジだと批判されてきている。そういう中でBHLは、5月30日夜にベルギーの北東部ワロン地方の首都ナムル(Namur)の教会を使って討論会を行っていた。その最中に、ノエル・ゴーダン(Noël Godin)氏(69歳)によってケーキがBHLの顔に投げつけられた。時代錯誤のユーモリストとして有名なゴーダン氏は、「ケーキ投げつけ」の常習犯でビル・ゲーツやニコラ・サルコジなどにもやっている。BHLを標的にゴーダン一派らの「ケーキ投げつけ」はすでに8回ほども行われていた。今回の「ケーキ投げつけ」は、いまはノルマンディの片田舎で車椅子に静かに暮らすモーリス・シネ(Maurice Sinet)氏83歳へのオマージュであったというから凄い。シネ氏というのは、「私もチャリーです」の風刺画週刊紙チャルリー・ヘブドの元編集長のフィリップ・バル(Philippe Val)氏によって、突然に人種差別主義者だとされて辞めさせられた人である。サルコジの息子ジャン氏が大学二年生の時にユダヤ人で家庭電化製品販売会社のダーティー創業者の娘と結婚するときに、彼が「早くユダヤ教に改宗しなければならないと言っているのは、なんと小さなことか」とヘブド紙で風刺したことが解雇の原因だった。リヨンで裁判があった時に、BHLがサルコジ側の肩を持った証言をした。これでゴーダンがBHLの顔に「ケーキ投げつけ」をやって、モーリス・シネ氏の人生の転落劇に花を添えようとしたのである。

人種差別と反ユダヤ主義に反対する国際連帯組織(LICRA)は「人種差別的怨念の教唆」でシネ氏を訴えていて2009年2月24日にリヨン裁判所で判決が下った。ベルナール・アンリー・レヴィー(BHL)はこの時に「シネを許すことはフランスを恐ろしいことにする」と証言していたが、シネ氏への訴えを取り消したのであった。LICAの弁護士アラン・ジャコボウィック(Aline Jakubowicz)氏はシネ氏を極右派主義者に仕立てようと論じていた。これに対しシネ氏の弁護士はジャコボウィックの意見はファンダズムであると反批判をしている。

2010年11月30日には、パリ大審院裁判所で風刺画週刊紙チャルリー・ヘブドがシネ氏を解雇したことを訴える裁判があった。精神的損害と名誉毀損並びに財政的被害の訴えを裁判所に出した。控訴院がこれを認めて、シネ氏は2012年12月になってから罰金9万ユーロ(約1350万円)を会社側から受け取っている。

これが非常に話題になっていた。2008年07月08日のRTLラジオでクロード・アスコロヴィッチ氏はシネ氏のことを反ユダヤ主義者だと言った。このことで、メディア王ラガルデ(Lagardère)の傘下に新たなポストを得ることができたとアスコロヴィッチ氏はサルコジに感謝していた。これは余りにもサルコジ寄りであるとして、ダニエル・シュネイダーマン(Daniel Schneiderman)氏がこれを厳しく批判したのである。2009年03月2日に裁判所はアスコロヴィッチ氏を無罪放任にした。そしてシネ氏が告訴してきた悪口中庸の訴えは棄却された。シネ氏は2012年以来ル・ポワン誌を去った。シネ氏の心配は、サルコジが大統領に就任した2012年以降、フランスの政教分離法(ライシテ)が硬直化してきてアラブ人やイスラム教徒の居場所がなくなっているというものだ。

チャルリー・ヘブドの元編集長のフィリップ・バル(Philippe Val)氏が16年来勤めて来たユーモリストの風刺画家であったモーリス・シネ氏が人種差別主義者として告訴されていた。このことでバル氏は、BHLがシネ氏を汚いアナーキストだと、シネ氏の裁判で証言していたとしている。シネ氏は現在83歳で車椅子の生活をしている。

ベルナール・アンリー・レヴィー(BHL)は、2014年10月31日夜にもチュニジアのカルタゴ空港の入国ロビーで、「BHL帰れ」「イスラエル主義者はわれわれアラブ・イスラムには必要ない」との批判の声を抗議の人々から浴びせかけられている。これはBHLが反イスラムや反アラブの怨念を掻き立てたという認識がチュニジアの抗議者にはあるためだ。これは奥が深い感じだ。

最後にモーリス・シネ(Maurice Sinet)氏を批判するジャーナリストをあげておく。Natacha Polony /Caroline Fourest /Maurice Ssafran /Eric Condn /Elisabeth Levyなどだ。よくフランスのテレビには出てくる人たちだ。

【参考記事】
http://rue89.nouvelobs.com/2009/01/27/val-bedos-bhl-filoche-du-grand-guignol-au-proces-sine



http://www.lemonde.fr/sujet/d5f0/maurice-sinet.html

http://www.leparisien.fr/international/video-tunis-bhl-prie-de-degager-de-tunisie-par-des-manifestants-01-11-2014-4258519.php#xtref=https%3A%2F%2Fwww.google.fr%2F

http://www.20min.ch/ro/news/monde/story/Bernard-Henry-Levy-a-nouveau--entarte--13603698
http://www.20min.ch/ro/news/monde/story/13852561