ところが今日11月14日の昼のフランス国営放送テレビA2のニュースでは司会者のドラウース氏がイスラム青年の襲撃を彷彿させましたが、すぐに出演していた専門家からこれだけの殺戮には郊外での青年暴動のような触発的なものではない、爆薬や自動小銃を運び込み、現場でそれを使用するというのは簡単なことではない。周到に準備されたものであると反対意見がでた。
続いて米・ソ・英・独・カナダなど各国首脳のフランスでの不祥事に追悼と共同の発言が紹介された。その中でシリアのアサド大統領の意見は特異なもので、フランスが狙われたのはイスラム主義国家組織(EI)を攻撃しないで自分を追い出そうとしているからだというのである。このアサドの発言は全くおかしなことである。フランスは注意深く空爆はEI陣営だけを空爆してきた。アサドがシリア国を出ることを要求してきたのはヨーロッパへのシリア難民がアサドの市民弾圧で逃げてきているからでその殺戮と難民を排出させた責任を要求していたからである。
フランス国内の各政党首脳の意見も報道されたが、その中でペンの極右派系国民戦線(FN)の副責任者フローリアン・フィリッポ(Florian Philippot)も、また少し後で国営ラジオ・フランス・アンフォで話したFN総裁マリーヌ・ペンも極めて落ち着いた発言でオランド大統領や警察の勇敢な活躍を評価し特に国境の一時的封鎖を司令したことに同意している。私の驚いたのはFNの責任者の意見が移民やイスラム教徒への敵視が感じられなく非常に冷静なものであったということである。
これに対し「共和党」(LC)党首のサルコジ前大統領は、非常に反イスラム的な発言で市民の人種差別的怨念を掻き立てて分断するものであったことだ。地方選挙が近い事と、「共和党」(LC)内部での次期大統領対抗候補であるアラン・ジュッペ氏の人気が上がってきているためなのであろうか。サルコジ氏には本当はせっかくテレビに出たのだから、昨日裁判で禁固2年の刑の判決が出たサルコジ氏の最側近であったゲアン内相について話す責任があったはずである。
【参考記事】
http://pluzz.francetv.fr/videos/jt_13h_,131967021.html
【準参考資料】
http://www.francetvinfo.fr/faits-divers/terrorisme/attaques-du-13-novembre-a-paris/video-sarkozy-juppe-marine-le-pen-des-dissensions-sur-l-unite-nationale-apparaissent-chez-les-politiques-apres-les-attentats-de-paris_1175519.html