2015年12月17日木曜日

シリアのアサドを写真や証言を元に人権犯罪でHRWが糾弾  

(パリ=飛田正夫2015/12/17 11:28日本標準時)国際非政府組織(NGO)の人権擁護団体ヒューマン・ライト・ウオッチ(Human Rights Watch  HRW)は、12月16日、シリアの独裁者アサド大統領の軍事警察であったカメラマン「セザー」氏の写真が本物であることを、独自の調査インタビューによって証拠だて糾弾した。元収容所で他の囚人が殺害されたのを見た37人の証言やサテリット映像や土地規定の技術を駆使して、セザー氏の写真がダマスのアラスタ軍事病院などで主に撮影されたことと照合していることから、アサドの人権犯罪を確定し糾弾している。アサド政府によるシリア反体制側蜂起市民への餓死の処遇や、恐るべき拷問や殺戮の光景が写真28707枚の写真に写っている。セーザー氏は撮影した映像を靴の中に隠して毎日持ち帰り自宅に保存していた。同カメラマンはこの写真フィルム53275枚を持って2013年8月にシリアを出ることに成功した。2011年以来セザー氏が撮影した6786人の犠牲者が写っている写真をガーディアン紙とCNNが2014年1月に公表している。

シリア政府の殺害者数はこの2011年来の闘争で20万人以上だと言われている。そしてシリア難民となって国外に流れ出た数は100万人を数える。

この間、サルコジ前大統領やロシアのプーチン大統領がこのシリア市民殺戮者のアサドを支援してきたことは忘れてはならないだろう。欧州共同体に流れ込んだ難民の原因が一つはこのシリアの混乱にあった。もう一つはサルコジ前大統領がリビア空爆でインフラを破壊したことだ。リビアからの地中海を超えて欧州へやってくる難民は、爆撃で国が無法地帯になったリビアから危険なボートでアフリカや中東の難民を出発させることができたわけだ。それで遭難者が続出したのである。

11月13日夜に起きたパリの同時テロ射殺事件以後は、フランスはシリアの独裁者アサド大統領の国外追放を主張してきた。それは欧州共同体への難民の原因がここにあったからである。それを知らせないメディアは多い。ロシアは逆にシリアのアサドを支援して、シリアのダエッシュ(Daesh)=イスラム主義国家組織(IS)とは戦わずに、シリア国内のアサドに反対するシリア反体制派蜂起市民の自由軍を攻撃してきたことを隠してはならないだろう。

プーチンがやっと最近になって、欧米軍と共にISと闘っている姿勢を取り出したが、プーチンのいうテロリストの概念があやふやで、いまだにISとシリア反体制派を同一視しているところもある。こういう流れを背景にして、ヒューマン・ライト・ウオッチ(HRW)は、11月16日にセザー氏の写真が本物であることを証言してシリアのアサドの人権犯罪を糾弾した。

【参考記事】
https://www.hrw.org/fr/news/2015/12/16/syrie-recits-lies-aux-photos-des-detenus-tues

http://www.lemonde.fr/proche-orient/article/2015/12/16/la-machine-de-mort-en-syrie-revelee-par-un-rapport-de-human-rights-watch_4833070_3218.html

http://www.lexpress.fr/actualite/monde/proche-moyen-orient/les-photos-exfiltrees-de-syrie-preuve-accablante-de-crimes-contre-l-humanite_1746426.html


http://www.lesechos.fr/monde/afrique-moyen-orient/021563636966-un-rapport-accablant-denonce-les-crimes-contre-lhumanite-du-regime-dassad-1185319.php